桜歌(長編)完結
□桜の気付き
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土方side
俺のもとに一本の知らせが入った。
一人の女を駅まで追った日の夜だ。
携帯が光った。
いつもは学校での連絡関係なのだが、今日は何故か源さんだった。
前世で共に歩んだ一人。
井上源三郎。
今は総理と仲良く、よく会合に参加している。
(………何事だ?)
「はい、どうしたんだ?源さん」
「あぁ土方君、すまないねぇ夜遅くに」
「いや、大丈夫だ」
「…実は…な、今日薫君に会ったんだ」
そのとき
動きが止まった。
俺には時間がいつもよりゆっくり動いているように感じた。
「………土方君」
その源さんの一言で、頭が回転しだすと、薫のことで頭がいっぱいになった。
「…アイツは…薫はどこにいるんだ!」
「土方君!…落ち着きなさい」
「……すまねぇ…薫と…何か話したのか?」
「いいや、見かけただけだったよ」
「………そうか」