桜歌(長編)完結

□桜の恐怖
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「薫!!起きなさいよ」
母の声が今日も家に響く。
私如月薫は昨日から一応高校生。
今日は学校で……ん?
学校?
……って
えー!!!!!!!



「お母さん!何で早く起こしてくれないの!!」
階段をかけ降り、居間にいる母に叫ぶ。
これが昔からの私の日常。


「起こしたけど起きなかったのは貴女でしょ」
そう言われると反論出来ない。
「行ってきます!」


(と言うか昨日も同じくだりしたような…)
そんなことを思いつつ




「おはようございます!」
急ぎながらも彼らに会わないように気を付ける。
会うと決意が揺らぎそうだから。
そう祈りながらテストを受けていく。
幸い3教科だから学校は早めに終わる。
早めに家に帰って迎えが来るまでは勉強と着替え。
服装はパーティードレスあたりでいいだろう。
そこだけで大丈夫なはず。



「起立」
委員長のやる気の無い声が響き渡る。
「礼、さようなら」
委員長がそう言えばクラスメイトは鞄をつかみ、教室を駆け抜けていく。
その波から少し後に教室を出ていった。
少し歩くとそこには桜の木がある。
それがこの学校の特徴。
なんせ彼らは桜が好きだから。



家に帰ると、急いで課題を終わらせる。
何故ここまで課題にこだわるかには理由がある。
あまり忘れ物や校則違反が目立つと生徒指導室に呼ばれるから。
なんせあそこには土方がいる。
と言うことは出会うのはまずい。
すごくまずいのだ。
今日は迎えが来るのは駅。
それまで会わないようにしなければならない。
ゆっくりと桜並木を歩いていく。
風が吹くたびに桜の花びらが舞い散る。


        
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