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□ケーキ
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「藍くん!このケーキとっても美味しいです!」
「そう」
「食べてみますか?」
藍くんがスタッフさんからいただいたケーキを持って帰ってきたので、私は作曲の手を止め二人でお茶の時間にすることにした。
そのケーキはとても美味しく、私は藍くんに食べてもらおうと一口分をフォークに乗せて差し出した。
「ボクはいらないよ。それ、カロリーすごく高いし。どれくらいか教えてあげようか?」
「いいえ…いいです」
「ま、君はもう少し脂肪がついた方が抱き心地いいし…ボクの事は気にしないで食べなよ」
そう言われると…非常に食べにくいんですけど…
でも甘いものは我慢できないので藍くんに差し出したフォークを自分の口へと運ぼうとしたら。
ポロッ
とケーキがフォークから転がり落ちてしまって。
それを隣で見ていた藍くんは、はぁ…とため息をついている。
「君はケーキすら満足に食べられないの?」
「す、すみませ…」
「ほら、口の端にもクリームついている」
不意に藍くんが私の腰を抱き寄せ、ペロリと口についたクリームを舐めとった。
「わわっ」
「…本当に甘い。ここにもついているよ。まったく君は…これじゃどっちが年上か分からないよね」
そう言いながら私の首筋に唇を這わせる。そ、そこはどうやってもクリームがつきようがないんですけどっ
「ちょっ、藍くん…っ」
「落としたケーキはどこだろう」
私はあまりのくすぐったさから身じろぎするも、腰に回された腕の力は強く抵抗らしい抵抗にならない。
藍くんはもう片方の手で私のカットソーの中に手を差し込んできた。
「や…っ」
「君がケーキを落とすのが悪いんでしょ。ボクはそれを探してあげているだけ」
「で、でも…っ」
服の中に入り込んできた手は腹部を撫で上げると、私の…胸にたどり着いて。
「んっ」
「…ちょっと。何その声、やめてよね。…まさかとは思うけど…探しているだけなのに感じているの?」
「ち、ちがっ」
「そうだよね。それで感じるようなら君は十分変態ということになる」
「…っ」
私はそう言われ、恥ずかしさが一瞬で全身を駆け巡った。そして声が出ないように両手で口元を覆う…声が漏れないように。
「ふ…ぅ…」
それでも声が出そうになってしまう。だって…探っているというより…揉まれているんだもの。それも、下着の上から、執拗に。
「コレ、かな…」
そこはぜったいぜーったい違いますっ!下着の上からでも主張をしている突起…私の乳首です…!
「でも、ケーキの割には固い。なんだろう…確かめる必要がある」
「や…っだ、だめ」
私は思わず口から手を放して藍くんの腕を抑えた。けれどその抵抗虚しくブラジャーの中にまで手を入れてきた。
…てっきりそこに触れるかと思ったら、触れるか触れないかギリギリの個所を撫でている。
ちょっともどかしい…です。
「〜〜〜っ」
「中々見つからないね」
そういう藍くんは口角を上げ、私の表情を見て楽しむように意地悪な笑みを浮かべている。
「何?物足りないって顔しているよ」
「そんなことは…っ」
「ふぅん。まぁいいけど」
キュッと不意に突起をつままれた。
「ひゃぁ…っ」
「もしかして…ここを触ってほしかったの?まさかね。だってボクはそんなつもりじゃないし」
「うぅ…」
恥ずかしさと、藍くんの意地悪さに私の視界は段々滲んでくる。
藍くんはというとそんな私の目元を舐め上げると唇にキスをしてきて。
「んっ…んぅ」
そのキスは私のすべてが貪られるんじゃないかっていうくらい深く激しいものだった。
「…ハルカにそんな顔をされるといじめたくなるんだよね」
藍くんは唇を少し離してそう囁くと、今度は触れるだけのキスをして私の胸を触っていた手も放した。
私は俯きながら乱れた服を戻していると、落としたケーキが足元にあるのを見つけた。
「あぁ、そこに落ちていたんだ」
しれっと藍くんはわざとらしく言う。まさか…最初から知っていたの?!
「ケーキが落ちた場所を知らないと本気で思ったの?ボクの動体視力をなめないでくれる?」
「ひ…ひどっ」
心を読んだ挙句、堂々と知っていました宣言!
「それに…やっぱり君はもう少し脂肪をつけた方がいい。C…いや、Bの65ってところだね。せめてDくらいにはなってほしいんだけど」
私のバストを正確に当てた上に…藍くんが巨乳好きと知って撃沈…
「別に大きい胸が好きなわけじゃないよ。大事なのは形。君はその点合格ラインかな」
「…っ」
形を褒められたのは素直にうれしいけど…!でも!
「藍くんのバカッ」
それから私は藍くんの体を突き放して走って帰った。
後日、
「ねぇ、何にハルカは怒っていたと思う?事実を伝えただけなんだけど」
と寿さんに相談している藍くんの姿があった。
終