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□君からのkiss
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ハルカはよく言えば控えめ。悪く言えば呆れるくらいの奥手。
だからキスはいつもボクからしていたけど…
ねぇ、ハルカ?


「たまには君からキスして」
「へっ?」


ハルカは驚いた様子で目をパチパチさせている。


「君からしてもらったことないんだけど」
「え、あ…そ、そうでしたっけ?」
「ロボのボクが忘れるわけないでしょ」
「…そう、ですよね」


見る見るハルカの顔が赤くなっていく。
さて、どう出るのかな。


「まだ?」
「あの…いま、ですか?」
「今」
「後じゃダメでしょうか?」
「…君の事だからそのままあやふやにするつもりなのは目に見えて明らか」
「うっ…」


バレたって顔して後ずさっても3歩後ろは壁なんだけど。
…ほら、背中に壁が当たった。
ボクはハルカが逃げられないように両手をついて閉じ込める。
顔真っ赤にして震えているなんて、どんな小動物なのさ。


「これで逃げられないね」
「どうしても…しなきゃだめ、ですか?」


恐る恐るボクを見上げる君。瞳を潤ませて…そんなにボクにキスをするのが嫌なわけ?


「はぁ…分かった。君がそんなにキスをしたくないならしなくていいよ」


押してもだめなら引いてみろ、という言葉があったのを思い出したのでハルカから離れようとしたら、ガシっとハルカに何かを掴まれた。
掴まれた先を見たら上着の裾。まぁ計算通り…だね。


「したくないわけじゃありません…っ」
「その割には震えて瞳に涙まで浮かべている。説得力なさすぎ」
「…からです…」
「何?」
「は、恥ずかしいからですっ」


そういったハルカはボクの服を引っ張り背伸びしてボクにキスをしてきた。


「……この場合唇にするもんじゃない?頬ってさぁ…子供じゃないんだから」
「〜〜〜っ!今はこれが限界です〜〜っ」
「今は、ねぇ…ということは今後もっと激しいキスを君からしてくれると期待するけど」
「あ!訂正しますっ」
「もう遅いよ。コンピュータにインプットしたから。絶対忘れないからね」


ボクはハルカの腕を壁に縫い付けるように押し付け舌で唇をなぞり、口腔に差し入れる。


「んぅっ…ふっ」


角度を変えながら何度も何度も互いの舌を絡ませれば、君の甘い吐息と二人の唾液が交わる音が部屋に響く。それは心地よいメロディーのよう。


「はぁ…っ」


唇を離すとハルカは足に力が入らなくなったようで、カクンと倒れかけた所を腰に腕を回し抱き留めて、横抱きにする。いわゆるお姫様抱っこってやつ。
ハルカ、軽すぎ。


「キスだけでそうなるなら、その先のことをしたら君はどうなっちゃうんだろうね」
「…?」


ボクの言ったことを理解できていないようでぼうっとしたまなざしでボクを見上げていて。
そんなハルカのおでこに唇を落としてボクはベッドルームに向かった。


「君がボクで乱れる姿…とても興味深い」


そう囁くとハルカはやっと理解したようで、ジタバタとボクの腕の中で暴れる。
…けど、そんなことしたって無駄だよ。


「…いい加減ボクだけのものになってよね」


ハルカの身も、心も。




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