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□AVみたいなこと
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部屋に入った私をソファに座らせると、その隣に藍くんも腰を下ろした。


「君は、ボクがアダルトビデオを見ていると思って泣いたの?」
「…はい」
「ほんっと君ってバカ」
「なっ」


藍くんにバカ呼ばわりされた私はムカッとした。
だってあんな張り紙を見たら誰がどう見てもそう思っちゃうよ。
そんな私の心情を知ってか知らずか藍くんは私の肩を抱き寄せた。


「ボクがそれを見るときは、君とする時のため」
「…え?」
「だから、君とアダルトビデオのような事をするとき。あぁ、でも…」


そう言いながら私を押し倒し、その上に藍くんが覆いかぶさってきた。
え、なに、何が起こっているの!?


「今がその時かな…」


人差し指で私の唇をなぞり、そのまま顎、首筋、胸と指を這わせてきて。


「ん…っ」


あまりのくすぐったさから私は顔を横にそむけてしまった。


「ねぇ、ボクとシてみようか」


私の胸をフニフニとまさぐる藍くん…へ、変な感じがするっ
それに、するって…その、あの…


「ハルカ、こっち向いて」


藍くんは胸を触りながら空いているもう片方の手を背中に回し、器用にブラのホックを外した。
ちょっ、待っ、心の準備が…!それに、今日の下着可愛くないやつで…っ


「嫌なら抵抗して。じゃないと本当にシちゃうよ…ま、抵抗されても止まれる自信ないけど…」


耳元でそう囁かれて私はゾクゾクと体に何かが走った瞬間―――。


ガチャッ


「悪りぃ藍!帽子忘れて…た…」


部屋の扉がノックもなしに開けられ、そこから現れたのは藍くんに帰るように言われた翔くんだった。


「わ!!!」


藍くんは翔くんに背中を向けている形だけど、組み敷かれている私からは翔くんが丸見えで、目が合ってしまった。


「わわわ悪いっ!つか、お前らやるならベッドでヤれよ!」
「す、すみませんっ」


私はなぜか翔くんに謝っていて。


「君は何を謝っているのさ…まったく。ここ、ボクの部屋なんだけど。それにどこでシようがショウには関係ないでしょ。というか、いつまで見ているつもり?」
「あ、あぁ、そうだった…邪魔したな」
「本当。邪魔。早くどこか行って」
「はいはい、そりゃすみませんでしたっ」


翔くんは帽子を被るとそそくさと部屋を出て行ってしまった。


「はぁ…、なんだか気がそがれた」
「でも…よかったです…」
「どうして?」


外したブラのホックを止め、私を起こしながら藍くんは聞いてきた。
嫌じゃなくて、なんていうか心の準備が…下準備もそうだけど…急はやっぱり戸惑う。


「その…心の準備が…」
「ふぅん…じゃぁ日にち決めてやる?」
「えっ!」
「心の準備ができればいいんでしょ?」
「いえ、そういう準備じゃなくて…こう、自然とその時が来たらみたいな…感じがいいです」
「何それ、曖昧すぎてわからないよ。まぁこういうのは無理強いするものじゃないし…君がシたくなったら言って」
「えぇっ」
「でも、ボクも男だってこと忘れないでよね。我慢できなくなったらその時は…」


ちゅ、と私の唇をかすめて「大人しくボクを受け入れてね」と藍くんは妖艶にほほ笑んだ。





―おまけ―

【翌日】
「あ、藍」

「何」

「昨日はその、悪かった」

「本当だよ」

「うっ…で、どうだった?」

「どう、ってなにが?」

「決まってんだろ、七海とのあれ…だよ」

「あぁ…うん、柔らかかったよ(案外胸があった…目測だけじゃ判らないこともあるんだね)」

「!!!!????」

「自分で聞いといて顔赤くするってどういうことなの。そんなことより…」

「?」

「今日中にカリキュラム終わらなかったら…明日以降もショウだけ特別カリキュラムだから」

「げっっ」

「当然でしょ、ボクの邪魔をした罰も含まれているんだから」

(レッスンに私情を挟まないでくれよ…トホホ)

「ボクだって挟みたくないけど、挟まないとこのイライラを発散できないんだから仕方ないでしょ」


おしまい。

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