BASネタバレ有
□君のぬくもりに触れたくて(前)
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【side:七海 春歌】
「…今日でまだ5日目かぁ」
5個目のバツ印をカレンダーにつけた私は、まだ残り2日もあるというのに既に明後日の事で頭がいっぱいだった。
藍くんが芸能界復帰してから初めての1週間の長期ロケ。
メールや電話は毎日しているけれど、会えないのはやっぱり寂しいです。
普段お仕事でもほぼ毎日会っていたから、たった1週間とはいえとても長く感じる。
「ちゃんとお仕事しないと、藍くんが帰ってきたときに怒られてしまいますね」
そうは頭では理解しているんだけど…
藍くんはいまごろどこでどんなお仕事をしているんだろう?
何て思ったその後すぐに、ほんの少しでもいいから私の事を思い出してくれていたら嬉しいな、なんて思ってしまって。
「こんなこと考えていたら藍くんのパートナー失格…かも」
藍くんはお仕事で忙しいんだから私の事なんて考える余裕なんてあるわけないよね。
「よし!」
私は気合を入れるべく、両頬を軽く叩くと小気味よい音が部屋に響いて。でも…
「イタタ…」
…少し強く叩きすぎたかもしれません。
自分で頬を叩いて自分で頬をさする。藍くんが見たらきっとため息ついちゃうかも…うん、力加減には気を付けよう。
「今度こそ、お仕事しよう」
私は作曲中の楽譜を手に取り機材へと向かった。