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□エイプリルフール
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「よく来たね。ショウとナツキ、君たちに大事な話があるから、とりあえずそこに正座してくれる?」
「翔くん、四ノ宮さんお疲れ様です」
「おう!お疲れ七海。呼び出しておいていきなり正座かよ!で何だ大事な話って」
「七海さんもお疲れ様です!ねぇあいちゃん、ここでいいですか?」
「うん。いいよ。君たちは一応ボクの後輩だから、最初に伝えておこうと思って今日ここに呼んだんだ」
「お、おう…どうした…?いつにもまして真剣な顔じゃねぇか」
「伝えたい事ってなんですか?」
「…ボク達、結婚することになったから」
「は?」
「はい?」
「二人とも耳遠くなった?それとも耳の掃除していないの?ボクとハルカ、結婚するって言ったんだけど」
「結婚…?」
「あいちゃんと、七海さんが…?」
「うん」
「お〜〜〜〜〜!ついにか!毎日ベッタリしているからいつかはこうなるんじゃねぇかとは思ってたんだけどよ!いやぁ〜めでたいめでた……くねぇだろ!おいおいおいおい!」
「わ〜!あいちゃんと七海さん結婚するんですね!おめでとうございます。お二人の結婚式にはぜひ僕と翔ちゃんも呼んでくださいね!」
「待て那月!藍はまだ15歳だ!結婚できるわけがないだろ!」
「…はぁ、今年に入って法改正されたの知らないの?だとしたらアイドル以前に日本人としてどうかと思うけど」
「え、そ、そうなのか?ニュース番組は毎日チェックしてるけどそんなニュースあったっけか那月…?」
「僕、あんまりニュース見ないのでわかりません。朝はピヨちゃん体操見てますから」
「ま、まぁ藍がそういうなら俺の見落としかもしんねーしな。つか、藍お前人気アイドルが結婚だなんていいのかよ!」
「だからこの情報は限られた人間にしか伝えないつもり。ボクの機密を知っている君たちとシャイニングだけ…あぁ、一応リュウヤにも伝えておこうかな」
「マジでか…つか、お前そもそもロボだろ?戸籍はどうなってんだ?」
「一応戸籍上は博士の義理の息子ということにはしてあるよ。ボクが作られた時にシャイニングがねつ造してくれたんだ」
「す、すげぇ…あの社長に出来ないことはないんじゃないかって思えちまうよ」
」
「法なんて彼にはあまり関係ないのかもしれないね。自由の女神も平気で持ってきちゃうくらいだし」
「ねぇねぇ七海さん!どんなウェディングドレスを着るんですか?」
「えっと…あの…」
「僕、レースがい〜〜っぱいついたフワフワでキラキラなドレスとかとても素敵だと思います!」
「ナツキ。その件に関しては機密事項だよ」
「そうなんですか〜…残念です。でも七海さんならどんなドレスでもきっとすっご〜く可愛いと思います」
「当然でしょ。ハルカなんだから」
「はぁ…マジで結婚かよ…あの藍が…?いや、まぁ最近スゲー人間らしくなったけど…にしても藍が結婚、かぁ」
「ふふ、あいちゃんと七海さんなら可愛い家庭を築きそうですね、翔ちゃん」
「まぁ、藍くらいキツイ奴には七海みたいなのがいいんだろうな」
「そういう訳だからくれぐれも他言無用でよろしく」
「おう!任せとけ!な、那月!」
「お口にチャックですね!」
「………て、いうエイプリルフールなんだけどどうだった?ちなみに法改正も当然嘘」
「は?」
「え?」
「なにその変な顔。さて、ここでショウとナツキに問題。今日は何月何日でしょう」
「そりゃ4月1日だろ。それがどうしたってんだよ」
「あ!エイプリルフールですね!」
「正解」
「………なぁ、藍?」
「なに?」
「まさかとは思うが今日コレの為に呼んだとか言うんじゃないよな…」
「そのまさかだよ。だって今日は嘘をつく日でしょ?だから君たちが信じそうな嘘をついてみたんだけど」
「嘘をついても許される日であって、嘘をつく日じゃねぇから…つかなんつー微妙な所で…こういうのはもっと信じきったあたりで【実はウソでした!ごめんね、テヘペロ】ってやるもんだろー…」
「…そうなの?ん?てへぺろって何?」
「そ、それはだな…ウィンクして舌をこうしてペロって出すんだよ」
「ふぅん、なるほど……こう?」
「わ〜あいちゃんのそのお顔と〜〜〜ってもチャーミングです!」
「そうか…?真顔で片目瞑って舌出してるだけじゃねぇか!むしろ怖いわ!」
「笑顔でやるとは言わなかったじゃない。でも次からは上手くできると思うよ、テヘペロってヤツ」
「あ、あのぅ…」
「ん?どうした七海。腹に手ぇ当てて…腹痛いのか?」
「ハルカ…どうしたの?顔色も優れないね。まさかまた寝不足?」
「い、いえその…」
「何か悩み事があるなら、あいちゃんや翔ちゃん、僕たちが力になりますから遠慮しないで言ってくださいね!」
「実は…でき…ちゃったんです」
「「「何が?」」」
「さ、三か月…らしいです」
「何が3か月なんだ?」
「はっきり言ってくれないとボクも分からないよ?ハルカ」
「あ、藍くんとの赤ちゃんが…ここにいるんです」
「………」
「え、えええええええええええええ!?マジで、マジか!?」
「…はい」
「七海さんおめでとうさんなのですか!?」
「…那月、それを言うなら【おめでた】だ!つか!藍と七海ってそういう関係…いや、まぁ恋人同士だから別に…おかしくはねぇけど…でもまだ藍15だろ…なのに俺ときたら…」
「翔ちゃんはまだサクランボさんですもんね〜」
「……だ、大事な人との為に取ってあるだけだ!!!つか、まじかよ…藍が父親…?どんな子供が生まれるんだ…って子供作れたのか…なぁ、藍。」
「あ、あいちゃん固まっちゃっています」
「おーい、藍。って熱っ!オーバーヒートしてるぞ!那月、冷えピタだ!」
「はい!そーれ!」
ジュッ
「はっ…ボク、今フリーズしてた…?」
「あぁ、七海が藍の子供妊娠したって聞いてな」
「……」
「あ、ヤベ!固まりかけてる!」
「ごめんなさい!実はウソでした!だから固まらないで下さい!美風先輩!」
「…ウソ…?」
「はい。先輩を驚かせてみたくて…ごめんなさい。まさかオーバーヒートしてしまうなんて思わなかったので…」
「…七海が嘘なんてつくような女じゃねぇから思いっきり信じちまった…」
「ボクがハルカに騙されるなんて…ダサすぎるでしょ…そもそもよく考えれば、ボクまだ生殖機能未実装だし…はぁ」
「でも、それだけ七海さんの演技がお上手だったって事ですよね」
「なんつーか、藍より七海の方が嘘つくの上手かったぜ…」
「えぇと…その…先輩、翔くん、四ノ宮さんごめんなさい」
「いいよ、今日はエイプリルフールだし。それに早急に博士に言って生殖機能つけてもらうことにするから」
「え?」
「君がついた嘘を本当に実現させるためにね?」
「せ、先輩…!あの…っ」
「…冗談だよ。さすがに博士でも簡単には出来ないし、今のはボクを騙した仕返し」
「ふふ、いつかお二人に赤ちゃんできたら是非高い高いさせてくださいね!」
「ダメだ!それだけはダメだ!」
「断る。ナツキ絶対放り投げるからね」
「ひどいなぁ、そんなことしませんよ〜」
「はぁ〜…俺と那月を騙すならもっとこう…違う嘘にしてくれよな…二人の嘘はあり得なくないから怖いぜ…」
「ごめんなさい、翔くん」
「来年は善処するよ」
「来年も俺達を騙すのかよ…ったく」
「どんな嘘をついてくれるのか楽しみにしていますね!」
「そうと決まればハルカ、今から来年のエイプリルフールについて話し合おう」
「はい…っ!」
「二人とも気が早すぎだ!!!!」
終