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□シャイニング雛祭り
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【お内裏様とお雛様】
「ほら、フラフラしないでちゃんと背筋伸ばして座る」
「で、ですが…十二単とカツラがとても重くて…わわ…」
「しょうがないでしょ、君が女雛役なんだから」
「はい…。でもどうして私たちがひな人形役なんでしょうか?」
「知らないよ。昨日いきなり【YOUタチ!ひな人形になって女の子達を喜ばせちゃいなYO!スケジュールは空けてありマ〜〜〜ス】って言いだしたんだから」
「社長は本当にいきなりですね…。あ、そうだ」
「何?」
「美風先輩のお内裏様姿…とっても素敵です…!和装もとてもお似合いです」
「ありがと。君も……」
「え、何て言ったんですか?すみません、よく聞こえなくて」
「別に。馬子にも衣装って言ったの」
「…!ありがとうございます!」
「そんなに喜ぶ言葉じゃないでしょ」
「だって着飾ればマシに見えるって事ですよね。先輩に少しでも褒めてもらえたのが嬉しいんです」
「まったく…君って変わってるよね(…本当は着飾らなくても君は十分綺麗だよ、だなんて調子に乗るから絶対言ってあげないけど)ちなみにハルカ」
「はい、何でしょうか」
「十二単脱ぐときはボクに声かけてよね、ゼッタイ」
「えぇと、どうしてですか?」
「そんなの、ボクが脱がせたいからに決まってるでしょ」
「え…っ、あ、あの…?(最近、藍くんの発言がどんどん大胆になってきている気がするのは私だけでしょうか…)」
「どういう構造なのか気になるだけだよ。何イヤらしいこと想像しているの」
「〜〜〜ッ!」
【3人官女】
「おい上の二人!イチャついてんじゃねぇ!ったく…女の祭りに何が楽しくて女装しなきゃなんねーんだよ。ロックじゃねぇ…」
「黒崎の女装は見るに堪えないな。俺のように完璧に着こなさねば意味がない」
「うるせぇ。こんなもん俺には着こなす必要ねぇんだよ」
「ランランもミューちゃんもいいよね★普通の女官さんなんだから!ぼくちんなんて年長者って理由だけでお歯黒なんだぞっ!危うく眉毛も全部剃られちゃうところだったし…」
「寿にピッタリの役ではないか」
「なんなら徹底的に眉毛も全部剃っちまえよ。男らしくな。俺が剃ってやろうか」
「ランランやめて!そんなことしたらぼく眉なしお歯黒アイドルになっちゃう!!!」
「いいんじゃない?珍しいから最初は注目されると思うよ」
「アイアイまで!?ちょっ、皆!れいちゃんが好きだからってイジメすぎはだめだぞ!」
「…腹減った」
「雛あられ…ふむ。変わった菓子だな」
「ハルカ、髪飾りが曲がってるよ」
「無視って一番ひどいと思うの!!!!」
→
【6人囃子】
「寿は本当にうるさい男だ。む…俺の位置からでは雛あられに遠いな。愛島!早く雛あられと甘酒をシュガー増量して持って来い。いつまで俺を待たせる気だ。グズグズするな」
「〜〜〜♪」
「貴様。この俺を無視するとは何様だ」
「カミュ、うるさいです。ワタシは今日本のフエを奏でています。とても素晴らしい…それに私は何様ではなくアグナパレスの王子。そしてカミュは伯爵」
「ぐ、ぐぬぬぬ…」
「カミュはいつも偉そうにしています。だけどワタシの先輩…先輩の言うことは絶対…とても不条理な世の中」
「聖川、手にしているモノはなんだい?オレ達が持つのは太鼓だろう?6人囃子なんだからさ」
「これは黒崎先輩の為に用意した菱餅型のハンバーグと、雛あられに似せた握り飯だ」
「なんだ真斗、ずいぶん気が利くじゃねぇか。ちょうど腹が減ってたんだ、寄越せ」
「お褒めに預かり光栄です。お口に合うと良いのですが…」
「女官姿な上に物凄い勢いでハンバーグ食べるランちゃんは何だか新鮮だね」
「これは俺のだ。レンにはやらねぇぞ」
「誰も取らないから安心しなよ。あぁ、でもイッキが物欲しそうに見ているね」
「マサのハンバーグ美味しそう…!いいなぁ、俺もお腹すいてきちゃったよ」
「音也くん!ちょうど今日、僕もクッキー焼いてきたんですよ!よかったらどうですか?」
「……朝、キッチンが荒れに荒れて、見るも無残な光景だったのはそのせいか…!お陰で俺が藍に怒られたっつーの!!」
「…あれぇ?おっかしいなぁ…なんでか分からないけどたった今お腹いっぱいになっちゃった!ごめんね、那月!」
「そうですかぁ〜残念です。じゃあ翔ちゃ…」
「お、俺か!?おおお俺様は今6人囃子として忙しんだよ!那月もクッキーなんて後にして笛吹け笛!」
「うん、それもそうですね。後で皆さんに配ります!」
「ねぇ、ナツキ」
「は〜い、あいちゃん。なんですかぁ?あ、あいちゃんのお内裏様とってもキュートです!」
「男がキュートとか言われてもまったく嬉しくないから。そうそう、ボクとハルカの分もショウが食べたいって。だからショウにあげていいよ」
「ちょ、おい、藍!ずりぃぞ!」
「うるさいよ、ショウ」
「ふん。クッキーなど庶民が口にする菓子だが、たまにはいいだろう。俺も食ってやる」
「カミュ」
「何だ美風」
「今までありがとう、カミュのこと忘れないから」
「一体どういう風の吹き回しだ?貴様が礼など気持ち悪い。まるで俺が今からどうにかなるみたいではないか」
「ナツキのクッキー食べて何ともなかったら、是非とも体のメカニズムを調べさせてほしいよ」
「なんだ?毒でも入っておるのか?四ノ宮、見せてみろ…どう見ても普通のクッキーではないか」
ガッガッガッ
「か、カミュ先輩が那月のクッキーを3枚重ねで食べてる…!」
「ふん、やはり何ともな……………」
バタンッ
「きゃぁ!カミュ先輩!?大丈夫ですか…?!美風先輩!カミュ先輩の反応がないです!」
「放っておきなよ。後で砂糖口に突っ込めば起きるんだから」
「恐るべし那月のクッキー…」
カシャ!パシャ!
「七海くん…あなたという人は本当に何を着ても可愛らしいですね…」
「い、一ノ瀬さん…?」
「あぁ!動かないで下さい。そう、その角度でもう3枚ほど…」
「あ、あの…私なんかを撮るより皆さんを写して下さい…」
「彼らなんてどうでもいいのです。私の最重要任務は私のパソコン内の【七海フォルダ】を増やすことなのですから」
「ふぅん…【七海フォルダ】ねぇ。ちなみにトキヤ?そのフォルダにはどんなハルカの画像が入っているの?」
「ふふ、知りたいですか美風さん」
「うん、とっても気になるよ」
「幼少期のハレンチな下着姿や、幼稚園でお遊戯をする七海くん、セーラー服に、ブルマ、スク水…そして今日の十二単…フォルダの最後を飾るのはやはり私の花嫁となった七海くんのウェディングドレスでしょうか。あぁ、白無垢も捨てがたいですね」
「一ノ瀬さん…!どこでそんな写真を手に入れたんですか…!恥ずかしいですっ」
「恥じらう貴女も愛らしい…」パシャパシャ
「へぇ…(遠隔操作してハッキングした後、最新ウィルス送り付けておこう)」
「トキヤ!藍の目つきがやばいからそろそろやめた方がいいと思うぞ〜…」
「翔、静かにしていてください。私は今日この日の為にカメラを新調したんですから!」
「あ、ホラ!女の子たちが集まりだしたぞ!トキヤは案内人だろ!それと、藍!カミュ先輩を起こしてくれ!3人官女の一人が倒れてるとか縁起でもねぇから!」
「先輩に指図しないでよね…まったく。カミュ、いい加減起きて」
「……んぐぐ…これは三温糖…!はっ、俺は一体…」
「それは後で説明するよ。とにかくお客さん来てるみたいだからしゃんとして。あぁそれと、6人囃子、しっかりやってよね。来てくれる女の子たちに少しでも楽しんでもらおう。それじゃ皆いくよ」
【ようこそ、シャイニング雛祭りへ!】
おしまい