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□アイドル達の豆まき
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【2月3日節分 アイドルの豆まき】

今日は2月3日、節分です!
これから藍くんと寿先輩、翔くん、四ノ宮さん、一十木くん、一ノ瀬さんと豆まきをするところ!
一ノ瀬さんは準備があるとかで今は席を外しているんだけど、何の準備だろう?
大量の豆と人数分の枡は用意してあるんだけどな。


「おいーっす!れいちゃん鬼がやってきたぞ〜!遠慮せずに投げちくりくり!」


鬼役は寿先輩。
年長者だからと進んで役を申し出てくれたのはいいんだけど、寿先輩が怖い鬼のお面をつけてもなんだかポップな鬼さんに見えるなぁ…。


「おぉ!美風藍選手、おおきくふりかぶったああああああああ」


藍くんの横で翔くんが手をマイクに見立てて何やら実況していた。
この二人しょっちゅう言い合っているけど何だかんだ仲が良いんだよね。
それを藍くんに言ったらきっと【どうしたら仲が良いように見えるの?視力検査してあげようか?】って言われちゃいそうだから言わないでおこう。


ヒュッ
ズドォォォォォォンッ!


「ひぃっ!?な、なんか今物凄い速さで僕の横を…って豆が壁に食い込んでる!?しかも豆の原型とどめてるし!」
「…おかしいな。ボクの計算だと顔面に直撃するはずなんだけど。意外とレイジの反射神経、悪くはないってことか…なら、次は当てるよ!」
「出るか…出るのか〜!?幻の消える豆!」


ヒュヒュヒュッ
ドガァアアアアアンッ!!


「出た〜!美風投手の【幻の消える豆!もとい枡!】」
「ぎゃあああ!!豆だけじゃ飽き足らず枡ごと投げてきた!!!しかも壁にぶつかった枡、こっぱみじんに大破しちゃってるぅぅぅ!もしこれで当たってたられいちゃんのアイドル人生危ないよ!?」
「……ちっ」
「あの〜…気のせいかなぁ…僕ちん今アイアイに舌打ちされたような…っていうかアイアイ!節分の豆まきって言うのは、力の限り恨みを込めて投げるんじゃないんだからね!」


お面を持ち上げながら寿先輩は藍くんに詰め寄るけれど、当の藍くんはそれがどうしたの?というように至っていつも通りの真顔で。


「そんなの知っているよ。鬼に豆をぶつけることで邪気を追い払い、一年の無病息災を願うんでしょ」
「うん!そうそう、だからと〜っても大事な行事なんだよ〜って分かっているならその高校球児顔負けの投げる構えやめようか!!」
「ウルサイよレイジ。鬼なら鬼らしく豆、当てられていればいいよ。鬼は〜外!」


ビシッ!バシッ!


「い、痛い!痛い!痛い!!そんな超さわやか〜な営業スマイルで投げないでぇぇぇ!後輩ちゃん助けて〜!」
「え、わ、私ですか!?」
「鬼が助けを求めるってどういうこと?しかも、ハルカに…さ!」


ドスッドスッ


「ご、ごめんなさい〜〜許してアイアイ〜〜〜!!」
「イ・ヤ」


寿先輩は何とかして藍くんの豆攻撃から逃れようとするけど、藍くんの正確なコントロールで次々に豆を命中させていく。


「藍のヤツ楽しそうでいいな〜…嶺二先輩は【遠慮しないでどんどん投げちくりくり!】なんて言ってくれたけど、先輩に豆投げるってのがなぁ…」


そうなんです。藍くんと寿先輩はとても楽しそうに豆まきをしているのだけど私たちは先輩相手に豆を投げることが中々できなくて。
そんな中、四ノ宮さんがニコニコしながら手提げ袋から取り出したのは、黄色と黒の縞模様の…


「ねぇ翔ちゃん!僕、鬼のパンツ用意してきたんです!ですから翔ちゃ…」
「穿かねぇから!ぜってー穿かねぇからな!?何が楽しくてこのクソ寒い時期にパン一にならなきゃなんねーんだよ!」
「え〜…それじゃぁ音也く…」
「あ、その、俺…あ、そうだ!俺、短パン穿くとカレー食べたくなっちゃうから穿けないんだよね!ごめん、那月!」
「音也くんもだめですかぁ…う〜ん、僕にはちょ〜っと小さいんですよね…あ、じゃぁ七海さ…」


四ノ宮さんが私を振り返り満面の笑みを浮かべた瞬間。


「ナツキ…彼女にそんなの穿かせて風邪でも引いたら…寮にあるナツキのぬいぐるみに油性ペンで落書きするからね」


藍くんの方をみると、藍くんは豆を握り締めて四ノ宮さんを睨んでいて、遠くの方では寿先輩がゼーハーゼーハーと息を切らしていた。


「…すごんでるけど、言ってることすげぇ小学生みたいだからな…藍」
「何か言った?ショウ」
「いいえ!藍が小学生みたいにガキっぽいだなんて…はっ!」
「へぇ……先輩に向かってそんなこと言うんだ?…君がベッドの下に隠しているハルカへの想いを綴ったラブソングの歌詞読み上げるよ?」
「すみません!申し訳ございません!俺の失言ですからどうかご勘弁くださいいいいいい!!」
「謝るなら最初から口には気を付けてよね」
「………はい」
「う〜ん、ぴよちゃん達に落書きされたくないので諦めます……」


四ノ宮さんが悲しげに肩を落とした時、


「ふぅ、ようやく準備が整いました…」


声がした方向をその場にいた全員が向くとそこにいたのは、全身赤タイツに黄色と黒の縞模様の鬼のパンツ、鬼のツノをつけた…


一ノ瀬さんだった。



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