A
□二人のsweet bathtimeA
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「ほら、早く。君の特等席はここだよ」
月宮先生とトモちゃんが温泉から上がったあと、私と藍くんは広い露天風呂に二人きりなってしまいまして……えっと、月宮先生たちがいたときももちろん恥ずかしかったけど、今はなんていうか…恥ずかしい上に目のやりばに困る。
だって、藍くんが…裸なんだもん!そりゃ温泉だから裸なのは当たり前なんだけど…
藍くんと…そのちょっとアレな雰囲気の時も私だけ肌蹴させられて藍くんはきっちり服を着込んだままだから裸を見るのは今日が初めて。
なんというか、艶めかしすぎる…!!ロボっていうのが冗談でしょ?っていうくらい悠然と温泉に浸かっている。
いつもは結んでいる髪も洗ったのか濡れてしっとりしていて、首筋を伝う水滴や鎖骨とかなんかもう全部が眩しいっ
そんな藍くんが私に向けて腕を広げている。これは…来いってことなのかな…?
「えっと…特等席って?」
「満月が綺麗な今日だけ特別に…ボクが君の背凭れになってあげる」
「背凭れ…?」
小首をかしげる私に藍くんは痺れを切らしたのか腕を引いて私を後ろから抱きしめた。
「きゃ…」
「こういうこと。理解できた?」
「は、はい…」
ぎゅ、と私の腰あたりを抱きしめてくる。
温泉のお湯の熱さと湯気と…恥ずかしさで私の体温が一気に上がるのを感じた。
だって…薄いタオルの下はお互い裸なわけで…
「温泉なんて何がいいのか分からなかったけど…君とこうして月を見ながらゆっくりするのも悪くはないね」
肌と肌が密着しているうえにこの態勢だと藍くんの声が耳にかかる…っ
月とか温泉より私の意識は背後の藍くんに集中してしまっている。
「それにしても」
「はい?」
藍くんは片方の手で私の二の腕を持ち上げ、
「何リンゴに簡単に触らせていたわけ?」
「え…っ、わわっ」
さっき月宮先生に触られていたのと同じように藍くんに二の腕を揉まれた。
「君は本当警戒心が足りなさすぎるよ」
「す、すみませ…」
「次からは気を付けてよね。ああ見えてリンゴ、狼だから」
そう言う間もずっと二の腕を揉み続けていて…正直くすぐったいからやめてほしいんだけどな。
「ふぅん…なるほど…ねぇ」
「あの…何がなるほど、なんですか?」
「二の腕って、胸と同じ柔らかさだっていうじゃない?だからどんなものかと思って…でもきちんと比較しないとわからないね」
藍くんはお湯の中にある反対の手で私の腹部から胸へ滑らせると二の腕と同時に揉みだした。
「ちょ…っ、藍…くんっ」
「…確かにこれは近いものがある。でも…こっちの方が柔らかいよ」
「だ、だめです…!ここ、温泉…」
「ここはシャイニング早乙女経営の旅館で、事務所貸切。その上今は宴会中…誰も来ないよ」
「や…っ」
二の腕を揉んでいた手もいつしか私の胸へと伸ばされていて。
「君が声を上げたら…誰かに聞こえちゃうかもしれないね」
私の耳元で酷く甘い声で囁く藍くんはどこか楽しそうに小さく笑っている。
どうして藍くんはいつも余裕があるんだろう…私なんて藍くんの指の動きひとつでいつも翻弄されるのに。
「や、やだ…藍く…ん」
「ピンク色に火照る君の白いうなじはまるでボクを誘っているみたいだよね」
「あぅ…っ」
うなじに唇を寄せる藍くんに私はビクンと体を震わせた。
「声、聞かれちゃうよ?ま、ボクは構わないけど…恥ずかしいのは君だけだし」
「ん…」
そう言われて私は咄嗟に両手で口元を覆った。
すると私の胸を触る藍くんの手に少し力が込められて…
「…ふ…っ、ん」
ふと自分の胸元に視線を向けるとタオル越しでも分かるくらいに先端が主張をしていた。
でも、そこには藍くんは触れてくれず、いつもそうやって私を焦らす。
ただ胸を触られているのに頭がクラクラする…きっとこの温泉と藍くんによってもたらされる熱のせい。
「トモチカには湯を汚すなって言われたけど…どうしようか?」
「ふぇ…?」
口元を覆ったまま振り返った私のおでこに藍くんは音を立ててキスをした。
「もちろん、アヒルを浮かべて遊ぶことじゃないよ」
「…?」
「…こういうコト」
「んぅっ」
私は二つの膨らみの先端を不意にキュッと同時につままれ喉をのけ反らせてしまった。
頭のクラクラに加えて…あれ?なんだか視界がぼんやりと…
「君と初めての場所が月を見ながらなんて…中々風情があるよね」
「ふ…っ」
「ボクはロボだけど聖人君子じゃない…自分でも今まで君を目の前によく我慢してきたと思うよ」
藍くんの言葉の意味をぼんやりとした頭で理解した私は首を小さく横に振った。
確かに月見風呂は素敵だけど…露天風呂が初めての場所なんて…イヤだよ…もっと…ちゃんと…し…た…
「ねぇ聞いているの?」
聞いて…ます…でも…なんか…声…遠い…よ。
「ちょっと…ハルカ!?」
う…ん…藍くんの声が…遠…い…
私の意識はそこで途切れてしまった。