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□藍と来栖翔
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なんで俺は今藍のヤツに全身ジロジロ見られたり、頭をポンポン叩かれているのだろう。
またいつかの測定…か?


「ショウを見ていると本当、人体の不思議を感じるよ。実に興味深い」
「はぁ?何言ってんだ?」
「ショウやナツキと出会ってから1年近くたつけど…ショウの身長は残念なことに1ミクロも伸びていない。
成長期と言われる時期の男性は平均で20センチ〜32センチ伸びると言われているのに…不思議だよね。ショウの体のメカニズムって」
「う、うるせーよ!やっぱ今のは測定だったのか!というかそのうち藍なんかあっという間に抜いてやるからいいんだよ!覚えとけ!」
「まぁ…ショウは身長があるより低い方が可愛げがあっていいんじゃない」


顔がべらぼーによくて、15歳にして身長も高い美風藍様は俺の前ではまっったく可愛くないけどな!


「別にショウの前でまで愛想をふりまく必要ないし」


おまけにエスパーよろしく、心まで読みやがるし…【ショウの表情を見てれば考えている事なんてお見通しだよ(真顔)】なんて言うけど絶対そういう特殊な機能があるに違いない!


「…それ、ボクの真似のつもり?ショウは物まね番組からオファー来ても出ない方がいいね…というか、そんな機能あるわけないでしょ。バカじゃないの」
「絶対心読んでるだろ!あぁっもうっ、今日そんなことを言うために俺を呼んだのかよ?」


そう、俺は今日藍に部屋へ来るように言われて尋ねた。
なんでも、俺に尋ねたいことがあるとかなんとかで。可愛くねぇ藍でも俺様を頼る時が来たのか!
それで藍の部屋の玄関先で今のやり取りに至るわけで。


「そんなわけないでしょ。…とりあえず上がれば」
「おう…そうするぜ」


靴を脱いで上がった俺は、藍の部屋での俺の定位置のソファにどかりと腰を下ろした。
藍の部屋は元々すげー広いんだけどさ、それに加えて必要最低限のものと本しかないから更に広く感じるんだよなー。
今の部屋もいいけど…俺もいつか藍みたいにたくさん稼いでいい部屋に住みたいぜ!


「ちょっと。なに自分の家のように寛いでいるの」
「ついこの前まで一緒に暮らしてたんだしいいじゃねぇかよ」
「…はぁ。今に始まったことじゃないけどさ、もう少しくらい遠慮ってもんをしたらどう」
「しょうがねぇだろ、藍の部屋落ち着くんだからよ」
「あっそ」


俺の向かいに腰を下ろした藍はテーブルの上に置いてあったパソコンの電源を入れた。
…人を呼んでおいて仕事でもするつもりか?あ、そうだこういう時じゃないと聞きにくいことでも聞いておくか。


「なぁ、藍」
「何」
「お前さ、さっき俺の身長が伸びてないとか言いやがったけど、そういうお前はアイツと進展してるのかよ」


パソコンをいじる藍の手がピクリと反応したのを俺は見逃さかなった。
お?なになに?


「どういうこと?」
「男女の仲にはなったのか?ってことだよ〜どうなんだよ〜」


俺は藍の小さな反応の変化が分かるまでには仲良くなったつもりだ。
この反応は…ちょっと照れてるだろ、藍!


「…男女の仲?具体的にはどういう仲なの?」


パソコンの画面からチラリと視線だけを俺に向ける。そ、そういうときだけ純粋に知りませんって目やめろよ!


「そ、そりゃあれだよ…キスしたり…触ったり…え、えっ…ちとか…」


なんだか言ってる俺が恥ずかしくなってきたんですけど!?
おまけに藍は視線をパソコンに戻してさも興味ないですって顔してるし!?


「ふぅん…なるほどね。それをショウが知ってどうするの」
「別にどうもしねーけどさ、藍ってソッチ方面疎そうだから気になっただけ」
「ボクが疎いのは認めるよ。経験不足は否めないし。でも、それはショウだって同じことなんじゃない」


うわっ、俺にきた!藍の事を聞いているのに、俺に返すなんてずりーぞ!


「俺はいいんだよ!いつかの為にとってあるんだからよ!」
「……ショウがアイドルでいる限りそんな日は来なそうだけど」
「お前は相手がいるからいいよな!!」
「まぁ、そうだね」


あっさりと認められるとすげーーームカツクっ!しかも藍の彼女の七海春歌は何気に俺の想い人でもあるわけでして…。
藍のヤツが七海のこと大事にしてるっていうのは十分すぎるほど伝わってくる。
なんせ、あの【超美少年でミステリアスなアイドル美風藍】が一人の普通の女の子に焼きもちやくんだぜ?
最近じゃ仕事以外での笑顔も増えてきたし…まぁ藍にとってはいい傾向なのかもしんねーな。七海に片思い中の俺は複雑だけど。え、なに?男ならさっさと諦めろって?
…簡単に諦められたら恋じゃねーと思うんだ、俺。
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