A

□ルージュ
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「動かないで…じっとして」
「ん…っ」


私は今藍くんにメイクをされている。
事の始まりは藍くんから届いた一通の【ハルカにメイクをしてみたいからメイク道具持ってきて。それから、すっぴんで来て】という内容のメールだった。

言われた通りすっぴんで寮に向かい、部屋に通された私はメイク道具を渡すと藍くんは興味深そうに眺めていて。
それからおもむろにメイク道具を手に取ると私にメイクをし始め…今に至る。

藍くんは肌のお手入れからベースメイク、マスカラ、チークまで私よりうまい!プロ顔負けの慣れた手つき。そして仕上げのルージュにとりかかろうとしていた。


「…ねぇ、そんなに震えられるとシにくいんだけど」
「で、ですが…」


他のメイクは平気だったのにルージュとなるとなぜか緊張する。
だって顔を上げて目を瞑るなんて…キスをおねだりしているようで恥ずかしい…


「ボクに見つめられるのが恥ずかしいから目を閉じるって言ったのは君でしょ」
「はい…」
「なら、じっとしてよね」
「…はい」


藍くんの手が私の顎にかかると紅筆が私の唇をなぞる。
目を閉じていても藍くんの気配をとても近くに感じて…ドキドキする。


「…ちょっと濃い…かな」


その言葉から塗り終えたことを理解した私はおそるおそる目を開けると、やはり藍くんの顔はとても近くにあって。


「…別の色を試してみよう。やり直し」


近くに置いてあったティッシュで私の唇を拭うと、今度は今よりやや薄めのルージュを取り出した。


「さて、もう一度つけるよ」
「はい」


もう一度私は藍くんへ顔を上げて目を閉じて塗られるのを待った…けれど一向に塗る気配を感じられなくて目を開けようとした矢先…


「ん…」


私は藍くんにキスをされていた。驚いて目を開けると藍くんが私をじっと見つめている。


「んぅっ」


驚いた私は再び目を閉じると、藍くんは舌で私の唇をなぞり口腔に入り込み私の舌と絡める。
部屋には二人の舌が触れ合う音がピチャピチャと響きそれがまた私の羞恥心をあおった。
でも…藍くんとのキスは頭がほわほわして気持ちいいから大好き。


「何?その物欲しそうな顔…というか、キス…うまくなったんじゃない?」
「ふぇ…?」


ふと唇を離した藍くんが言った。頭がほわほわしていた私はすぐにはその言葉を理解できなくて。


「バカだと思っていたけど…学習能力はあるみたいだね。それか…別の人とシているか」
「私、藍くんとしかしたことありません!!!!」


何バカ正直に藍くんがファーストキスの相手だと大声で言い切ってんだろう…はぁ…だからバカだって言われるんだよね。


「そんな堂々と大声で言うことじゃないでしょ…」
「う…」


あ、呆れられちゃった…?私がこの年までキスしたことないから…


「あと、残念ながらこの先も君は他の人とキスをする機会はないからね」
「…え?」
「え?じゃないよ。それとも何、ボク以外の人とキスする予定でもあったの?」
「藍くんとじゃなきゃイヤです!」
「ボクの質問の答えになっていないし…ま、その答えに免じて許してあげる」


そういうと藍くんはちゅ、と音を立てて触れるだけのキスをしてくれた。


「うん。ルージュもいいけど、やっぱりボクのキスで君の唇が艶やかになる方がいい」
「〜〜〜っ」


う〜〜〜…時々ものすごく恥ずかしいことを平気で言ってくれるから反応に困る…


「それから…ボクの手で君が変わっていくさまは本当興味深かったよ」
「そう、ですか?」
「そうだよ」


藍くんはそういうと私の腰を抱き寄せて。


「だって、メイクでこれだけ変わったら君を抱いたときどうなるんだろうって想像したら…ね?」


とても気になるでしょ?って耳元で甘く囁いた。その声は腰ぬけるから反則だよ…っ藍くん…!


「あああああああのっ…わたしは…そのっ」
「ねぇ、試してみようか」


意地悪っぽくそういった藍くんはクスクス笑い今度はおでこにもキスをした。


「ま、キスでこんなに心拍数上げているようじゃまだまだだけどね」


藍くんといてドキドキが止まらないことなんてないよ〜〜!





次のページは会話文のみのおまけです。
素晴らしくグダグダですがそれでもOKなかたはお進みください♪
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