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□痛くなるくらい抱きしめてあげる
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【午前0時を過ぎた後だって、俺だけのもので】


「はぁ…藍くんもカミュさんもかっこよくて素敵…」


今日は藍くんとカミュさんのデュエット曲【月明かりのDEAREST】フルコーラス地上波初お披露目。私は今抱えているお仕事を無理矢理終えてTVの前でそれを見ていた。
もちろん、録画もバッチリ!

というか!!お二人の今日の衣装がものっすごく素敵!
二人とも燕尾服と白い手袋に、藍くんは細フレームの片眼鏡とシルクハット、カミュさんは片方のこめかみに小さく月と星のフェイスペンティングとシルクハットで。
いつもと違った二人の姿にすごくドキドキする。それに収録を見ている観客席の女性も皆黄色い歓声を上げていて。


「…ハルカ」
「あぁ…藍くんカッコイイ…」


横から私を呼ぶ声がするけど今はこっちが大事!


「ねぇ、聞いているの?」
「こんな人が私の彼氏さん…はぁ…大好きです…」
「ちょっと」


もう、何?二人の歌声に集中したいのに!


「少し静かにしていてください!今いいところなんですから!」
「…そう」


するとふわりと背後から抱きしめられ…てって!


「あ、あ、藍くん!?」
「いいからTV見てなよ。好きにしてていいんでしょ」


静かにしてとは言ったけど好きにしていいなんて一言も言ってません…。
後ろからすっぽり包み込まれる形になった私は背後に感じるぬくもりが気になってTVを見ている事なんかできなくて。


「〜愛で溶かしたい」


すると藍くんは耳元でTVに合わせて小さく歌いだした。耳に当たる吐息と甘い歌声に私は思わず身をよじらせてしまった。


「痛くなるくらい抱きしめ続けたい」


その歌詞とともに私を抱く藍くんの腕に力が入る。
もう私はTV画面なんて目に入らなくて、背後の藍くんに意識が集中していた。


「【ずっと一緒にいよう】」


ちゅ、と歌い終わった後首筋にキスをしてきて…


「ん…っ」
「いいところっていっていた割に全く見ていなかったね」
「ゃ…っ、そんな耳元で歌われたら…っ」
「歌われたら?」


藍くんは後ろで悪戯っぽく小さく笑っている。


「しゅ、集中、できるわけがないです…!」
「どうして?」
「ど、どうしてって…て、TVより…後ろの藍くんが気になって…」
「へぇ。それはこういうことをボクがしているから?」


そうなんです。先ほどから服の上から胸をまさぐられているんです。


「分かっているなら…っあの、そのっ」
「何?」
「手を…放して…ください」
「イヤ」
「んん…っも、おねがっ」
「はぁ…仕方ない。分かったよ」


そういうと藍くんはあっさり手を放してくれた。いつもならなかなかそうはいかないのに。
私は藍くんの腕の中から出ようと立ち上がろうとしたとき…


「なんて……言うと思った?」
「きゃっ」


グイっと腕を引っ張られ再び藍くんに包まれてしまった!


「今日は放してあげない。…せっかくオフのボクを放ってTVを見ようとした罰」
「それ、罰なんですか…?」
「…物足りない?」
「へ?」
「なるほど。積極的な君も好きだよ…ハルカ」
「あ、あの…?」
「ボクとしてはいつでも歓迎だから願ったりかなったりだけど」
「藍くん…?」


藍くんは強く私を抱きしめ私の耳元に唇を寄せて…


「抱きしめられるだけじゃ物足りずにボクのものになりたいってことでしょ」


と酷く甘い声で囁いた藍くんに私は一気に全身の力が抜けたように藍くんにもたれてしまった。




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