A

□他の名前を呼ばないで
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あ…HAYATO様…大変麗しゅうございます。え!復活されるのですか!
HAYATO様の正体…実は一ノ瀬さんですが…それでもやっぱり好きです。

うそ…こっちに向かってくる…?ううわ、どうしよう…ドキドキする。
…今、頭を撫でられているの?すごくその笑顔が眩しいです!!あぁ、HAYATO様の手…おっきくて暖かい…とても気持ちいい。


「HAYATO様ぁ〜もっと…撫ででください〜…ムニャムニャ」
「…ボクのベッドにもぐりこんできたかと思えば…他の男の名前を呼ぶってどういうつもり」


うん?藍くんの声が遠くで聞こえる?
ごめんなさい藍くん。今はHAYATO様ともうちょっといたいです…


「私…HAYATO様の事…ずっと好きでした…スースー」
「その上、堂々と告白?…ハルカのくせに生意気」


HAYATO様の手が私の頬に唇に触れて…首筋を伝い胸元にまで滑り落ちてくる。
え!?む、胸!!そこは私の胸です!


「う…ん」
「へぇ。寝てても反応するんだ。…それとも…HAYATOに触れられていると思って興奮しているのかな、君は」


そ、そんなに揉まないで下さい…っ変な声が出ちゃう…!それに…触れていいの藍くんだけだから…え、服の中に手は、ちょ…さすがにだめ…!


「ぁ…は…やと…さま…」
「…寝ている君に触れるのも悪くはないけど…他の名前を呼ばれるのは気に食わないね」
「んぅ…っ」


えええええええええ!
は、は、HAYATO様にキスされてる!?それにすごく生々しい…っ
でもなんかこのキス…いつも藍くんがしてくれるのと似ている…?
まるで…藍くんにされているみたいで変な気分。


「ん…」
「本当に寝ているの?狸寝入りならそのまま進めるけど…」
「ふ…っ」


え、下…!?だ、だめ、これ以上は!!!


「こ、これ以上はダメです!HAYATO様!私には藍くんが…!」
「……ボクが何」


ハッと目を開けた私の目の前には藍くんの顔が物凄く至近距離にあって胸には藍くんの手が置かれていた。


「へ…あ、い…くん?ど、どうしてここに…」
「夜中、トイレに行くために起きた君が寝ぼけてボクのベッドにもぐりこんできたんでしょ」
「……?」


寝ぼけ…?ということは…ここは藍くんのベッド!?


「ボクに夜這いかと思ったけど…君の口からHAYATOの名前が出た」
「う…っそ、それは」


HAYATO様の夢を見ていたから…って私何か寝言言っていたの!?


「HAYATOがずっと好きだった、と言っていたよ。ボクのベッドで、ボクの目の前で、はっきりとね」
「えっ!」


そう言う藍くんはとても素晴らしく美しい笑顔を浮かべている…。これは…確実に怒っている。


「夢にまで出てくるほど君がまだHAYATOの事を好きだったなんてね」
「ち…ちがっ…んあっ」


胸に触れていた手が不意に強く揉まれた。


「どう違うの?夢の中でHAYATOに触られていると思って興奮していたんでしょ」
「やっ、ちが…ふっ」


私の反論など聞くつもりはないのか藍くんは私の唇を塞ぐ。
息継ぎすらままならないほど激しい口づけに私は次第にぼんやりとしてきて。


「君が……ボクに愛を教えたのに…」
「んっ…はっ」
「ボクから離れようなんて…そんなこと、させない」


キスの合間の藍くんの低い囁きに私の体に何かが走ったかのようにゾクリと震えた。


「ま…まっ…て」
「待たないよ」


唇を離した藍くんは手を胸から下へ滑らせ、腰をまさぐり私の下腹部に到達したとき。私はありったけの力で藍くんに抵抗した。


「やだっ!」
「…HAYATOには興奮してボクじゃ嫌?」


先ほどまで笑顔で私を見ていた藍君とは打って変わって、無表情ないつもの顔に少し切なさを浮かべていた。


「そういうんじゃありません。確かにHAYATO様の夢を見ていました。でも…」
「……」
「その…キスされた時、いつも藍くんがしてくれているキスだったので…藍くんにされているみたいで変な気ぶ…」


言葉を途中で遮るように再び私は藍くんにキスをされた。けれどそれはさっきと異なりとても優しいキスで。


「……ボクは」


ゆっくりと私から離れて起き上がり、ベッドの淵に腰かけるとポツリと話し出した。


「君が実はまだHAYATOを好きなのかと思ったよ。…強く思わないと夢には出てこないからね。それが好きであれ嫌いであれ」
「確かに…HAYATO様は好きです。でも」


私は乱れた服を整えながら起き上がり藍くんの背中に抱き着いた。
なんだか藍くんが今にも消えてしまいそうに見えたから。


「それは尊敬であって…藍くんへの気持ちとは違います。あ!別に藍くんを尊敬していないわけじゃないですよ!でも、HAYATO様がいたから今の私がいるわけでして…」

藍くんは私の手にそっと手を重ね、小さく笑った。


「そうだったね。…君の言葉はボクをこんなにも…落ち着かせる」
「なんです?」
「何でもない。とにかく、寝ぼけてボクのベッドに来るなら、最初からボクのベッドで寝ればいいでしょ」
「ええ…っ」
「君を抱きしめていれば、HAYATOなんか出てくる隙なんかなくなるしね」


私を振り返っていった藍くんはフワリと優しく微笑んだ。


「でも、ただ抱きしめているだけじゃ済まさないけど」
「きゃっ」


そう言って私は藍くんに押し倒された。




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