【先輩orプリンスの話】

□俺好みのキス【月宮林檎】
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「あ、あの…せんせ…」
「やっだー!ハルちゃん!二人の時は違うでしょー?」


そうは言われても、ここ…学園だし…。


どうして私がここにいるかというと…
今日はオフで、先生…林檎さんは授業が終わったらオフということで、何かお手伝いできることはないかと思って学園に足を運んだ。

メールで事前に連絡してから来ればよかったんだけど、驚かせたくて、内緒で来ちゃった。
林檎さんが偶然私を見つけた時ちょうど日向先生とお話をしていたところで、
それを遮るように林檎さんが私の腕を掴み、誰も来ない資料室へと来て、壁に追いやられて今に至る、というわけで。
林檎さんは壁に両手をついて私をその中に閉じ込め、私の両足の間に林檎さんの右足が…割り込まれている。


「龍也と何を話していたのかしらー??」


そういう林檎さんは、顔こそはTOPアイドルらしい笑顔だけど…その後ろの黒いオーラがとても怖くて…。
そんな笑顔を見ていられなくて私は俯いてしまった。


「えっと…最近の近況をお話していました」
「本当かしら?アタシに黙ってここにきて、龍也と寄り添って親しげに話していたじゃない」


パサリ、と何かが落ちる音がしたので足元を見るとそこにはピンクの巻き髪のウィッグが落ちていて…。
林檎さんはウィッグを外すと素の、男性に戻る。でも、それは家だけでの話で。


「そういうわけじゃ…」
「どうだか。俺じゃ物足りず龍也にも色目使ってたんじゃねぇの?」


うわぁ…完全に男性モードに切り替わってる…。


「違います!ただ、林檎さんを驚かせようと…」
「ふぅん。じゃぁその証拠を見せて」
「え?」
「春歌が俺のために来たっていう証明だよ。俺のこと好きならできるだろ?」


顎を掴まれ上を向かせられると林檎さんの顔が至近距離で。
鼻と鼻が触れそうに近く…その、毛穴やシミ一つない綺麗な顔に見つめられるとドキがムネムネしちゃうっっ


「り…んご…さ」
「できないの?俺としてはこのままでもいいけど。俺、春歌の顔見てるの好きだし」


林檎さんが私に何を求めているのかよ〜く理解できる。
でも、それをしたらいつもそれだけじゃ終わらないじゃないですか…っ
誰も来ない資料室とはいえ、校内だし …


「…ひぁっ」


突如私の太ももを林檎さんが撫でだしたことに驚いて私は素っ頓狂な声を上げてしまって。
自分でも思うほど色気がなくて情けない。トホホ


「ほんと、こんなにモチモチでふわふわな白い足を惜しみもなく出して…誰を誘惑したいんだか。俺のお姫様は…」
「そんなの………林檎さんだけです」
「じゃぁ、早くしてよ」
「…はい」


私は覚悟を決めると林檎さんの首に両腕を回して、


ちゅ


と唇を重ねた、
何度もしているけど、ほとんどは林檎さんからしてもらっているから自分からなんて恥ずかしい。


「俺が教えたキスと全然違うんだけど。」
「〜〜〜〜っ…」
「何度も教えたでしょ?俺好みのキス」
「…うぅ…」


林檎さんの言うキスとはいわゆる大人のキスで…私からそれをヤレなんて、今日の林檎さんはいつにもまして意地悪。

仕方ない、もう腹を括ろう!

私は再び触れるだけのキスをして、舌で林檎さんの唇をなぞる。
そうすると唇を少し開けてくるのでその中に私の舌をいれて絡ませる。


林檎さんがいつも私にしてくれるキスを思い出しながら、今は私から施す。


「…ん、よくできました」
「……」


恥ずかしすぎてまともに林檎さんの顔が見れない私は彼の胸元に顔をうずめた。


「めちゃくちゃ続きしたいけど…ここ学園だしな。家に帰ったら覚悟しろよ?寝かせてなんかやんないから」


私をふわりと抱きしめた林檎さんは私の頭頂部にキスを降らせるとウィッグを拾い被った。


「よしっんじゃ、ハルちゃんに元気もらったし、もう一仕事頑張りますかねっ」
「お手伝いします」
「あらっ助かる〜〜♪じゃぁお願いしちゃおうかしら♪」


すっかりいつもの【先生】に戻った林檎さんの足取りは軽く、仕事を片付けるために二人で職員室へ向かった。





〜おまけ〜

一人取り残された日向先生。

「…林檎のヤツあからさますぎるだろ。はー、まぁ、幸せそうならいいか」





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