GS長編

□二人で歩く未来
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「はぁ〜、スッキリした!坂田さん、お茶飲みますか?家から持ってきました」

いつの間に掃除が終わったのか、新八が万事屋に来てから大体4時間くらい経った頃、台所からおかんアイテムを脱いだ新八が、自宅から持参したらしい急須や湯のみを運んできた。
今朝冷蔵庫のいちご牛乳は飲みきったし、茶じゃ甘くねぇけど…まぁいいか。

「もらう」
「はい、どうぞ。熱いから気をつけてくださいね」

目の前に置かれた湯のみからは、ほかほかの湯気が立ち上っていた。
茶なんて、どれぐらい振りに口にするんだっけ?

「一体どんな暮らししてたんですか?ゴミがマンガとアイスとお菓子とジュースのパックばっかりだったんですけど」
「そういう暮らし。それさえあれば、俺は生きていける」
「うわっ!なんてダメな生活してんですかっ」

眼鏡を湯気で真っ白にしたアホ面を晒しながら、眉間に皺を寄せてくる。

「それじゃ本当に糖尿になりますよ?」
「俺は、太く短く生きるから大丈夫」
「それを一般的には大丈夫って言わないんですけど」

横目でゴミ袋が山積みの部屋の一角を見ながら、軽蔑の目で俺を蔑んでくる。

「…で?何でお前ここにいんの?」
「へ?」
「俺の近くがどうこうって、さっき言ってたじゃん。何で?」
「あ…れは…」

お茶に溺れてんのかと思うくらい湯のみを顔に近づけて、何かガボガボ話し始めた。
話し始めは何言ってるか分かんなかったけど、耳をよく澄ましていると漸く聞き取れだした。

「姉上助けてもらった時…あなたの背後っていうか、オーラっていうか…それが光ってる気がした…っていうか」
「うんうん」
「どうせ他に仕事ないし、何でも屋…だったら僕でも何か出来る気がするし…」
「うんうん。じゃあ、さっき和室の掃除のとき、何であんな嬉しそうだったの?」
「それ…は、さっき知り合ったばかりで、姉上のことも…助けてもらったくせに、勝手に上がり込んで掃除始め…ちゃって…」

…知り合ったの、さっきじゃないけどね。

「もしかしたら怒ってんじゃないかなって途中…から思ってたから、ここで初仕事もらえ…たのが嬉しくて…」
「うんうん」
「綺麗になった部屋見…たら気分もスッキリしたし、ここでなら僕にも何か…仕事が出来ると思う…。坂田さんの管理は僕に任せてください」
「うんうん。…うん?」

俺の管理って何!?

「坂田さん自堕落で、ダメ人間で、どうしようもない人だから、僕が坂田さんを立派な人間にしてあげます!」
「俺を?」

そりゃ、ダメ人間の自覚はあるけれども、新八が俺の世話を…?
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