黒く、染まる

□平凡だった私達
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「だーいちっ!はよー!」

「なまえ。おはよ。」

いつものように起きた朝。
大地を見ると嬉しくなる。思わずにへへと笑うと大地が変な顔をしてきたので、あははと笑って誤魔化す。

「今日は朝練は?」

「無し。」

「……さぼり?」

「違う。キャプテンがさぼってどうすんだ」

「だよねー」

ごめんごめんと言って笑うと、大地は私が背負っていたギターケースを見て言う。

「それ、お前には重くないか?」

「え、あー、そうね。」

「貸せ」

そう素っ気なく言うと、前にずんずん進んでしまった。
何となく、大地の耳が赤い。

……反則だ、そんなの。

思わず冷えた手で熱くなった顔を冷やす。だってあんなの、ずるいだろう。

「だ、大地!ちょっと待ってよー!」

大地は振り返ると、少しだけ笑って、言った。

「お前が遅いんだよ」

「大地が速いんだって!」

もう、と呟いて大地の元へ走る。
あ、やばい。口角が、上がってる。やばい。下げなきゃ。

「……何だよその顔」

「……口角を下げてる」

なんだそれ、と言って笑う大地に、またしても口角が上がる。このやろう。好きだ馬鹿。

「……大地のばーか」

「……お前よりは頭いいと思ってたんだがな」



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