黒く、染まる
□平凡だった私達
1ページ/1ページ
「だーいちっ!はよー!」
「なまえ。おはよ。」
いつものように起きた朝。
大地を見ると嬉しくなる。思わずにへへと笑うと大地が変な顔をしてきたので、あははと笑って誤魔化す。
「今日は朝練は?」
「無し。」
「……さぼり?」
「違う。キャプテンがさぼってどうすんだ」
「だよねー」
ごめんごめんと言って笑うと、大地は私が背負っていたギターケースを見て言う。
「それ、お前には重くないか?」
「え、あー、そうね。」
「貸せ」
そう素っ気なく言うと、前にずんずん進んでしまった。
何となく、大地の耳が赤い。
……反則だ、そんなの。
思わず冷えた手で熱くなった顔を冷やす。だってあんなの、ずるいだろう。
「だ、大地!ちょっと待ってよー!」
大地は振り返ると、少しだけ笑って、言った。
「お前が遅いんだよ」
「大地が速いんだって!」
もう、と呟いて大地の元へ走る。
あ、やばい。口角が、上がってる。やばい。下げなきゃ。
「……何だよその顔」
「……口角を下げてる」
なんだそれ、と言って笑う大地に、またしても口角が上がる。このやろう。好きだ馬鹿。
「……大地のばーか」
「……お前よりは頭いいと思ってたんだがな」
.