ミズノオト
□10話
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「すみません。完全僕の力不足でした」
「そんなことないわよ。自己記録行進したし、対したものだわ」
「ゴーグルさえずれてなきゃ優勝できたかも」
『あれはギャグじゃなかったのね…』
「違いますよ!?」
試合は全部無事に終わり、怜ちゃんも1位を取れなかった
「まあ、いずれにせよ皆良く頑張ったわ。本当にお疲れ様」
『ほんと、疲れたぁ』
「蒼ちゃんは何もやってないでしょー!」
「あら、
そういえば七瀬くんは?」
『1人で先に帰ったよー』
「え、そうなの?」
「ああ、なんか気分悪いって言って…」
「そう…それならしかたないわね。…松本さん、星野さん、あとは…」
先生は私とこうちゃんに目を合わせてそう言った
「はいっ」
『りょーかいです』
「それじゃ、私もこれで失礼するから」
「俺も久しぶりに燃えさせてもらったぜ!お疲れ、じゃーなー!」
先生は車、コーチはピザのバイクで帰っていった
「あれに乗ってきたんだ……」
「仕事、大丈夫なのか……?」
『私も乗せろや……』
そして4人だけ残り、皆で夕日を見ていた
「終わっちゃったね」
「ああ」
「でもやっぱり、僕行きたかったです、地方大会」
「あれだけ頑張って練習してきたんだから誰か一人くらいはいけるかもって思ってたけど…現実は厳しかったか」
「水泳は奥が深いです。やはり、理論だけでは勝てない…燃えてきました!」
「ふふ、まあ今更燃えても仕方ないけどね…」
『…なに言ってんの?』
「仕方なくありません!」
「「え?」」
真琴、渚と怜ちゃんは一斉に顔を上げて私と江ちゃんを見た
「まだ明日があります!」
『そーそー!大会2日目!』
「だって、僕たちエントリー種目今日で全部終わっちゃったんだよ?」
「2日目は確か…個人メドレーとあとはリレー……あ、まさか…!」
「ごめんなさい!皆さんに内緒でメドレーリレーにエントリーしてました!」
江ちゃんは皆の前に移動し、両手を合わせる
…とっても可愛い。
「えー!?」
『先生には言ってあるよ!』
「それじゃ、もしリレーに勝てば…」
「地方大会に出られます!」
「無茶だよ!急にそんなこと言われても…俺たちリレーの練習なんて何もしてくれなかったし…」
「どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」
「だって…遙先輩リレーは気が進まないみたいだし…蒼先輩は内緒にすればいい!って…」
「「……。」」
『ちょ、無言でこっち見んな』
「…やりましょう」
「え、怜ちゃん!?」
「これは僕たちに与えられた最後のチャンスです。たとえ練習してなくても…やってみる価値はある!!」
『さっすが怜ちゃん!ね、真琴、渚!』
渚と真琴は顔を見合わせてうん、と頷いた
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