ミズノオト
□10話
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『あっ…凛』
しばらく歩いてると凛がベンチに座っていた
「よっ。どうした浮かない顔して」
『べつにー?1位オメデトーゴザイマスゥー』
「なんで棒読みなんだよ…」
イラつかせるような態度を取ると凛は予想通りイラついたようだ。
そんな凛を放っておいて、隣に座る
「…なんだよ」
『なんもなーい』
「松岡せんぱーーい!やりましたね!見事決勝進出!それに七瀬さんに勝ったし!!」
『!?に、似鳥きゅーーんっ!』
天使の声が聞こえたと思って見てみれば向こうから天使がこっちに走ってきてるではないか…!!
「あっ、蒼さん!こんにちは!」
『いやんっ癒させる!!似鳥きゅぅうううんっ』
「うっせーよ。」
『のわっ』
似鳥きゅんに抱きつこうとしたが凛が私の頭をガシッと掴んで椅子に戻された
「似鳥、お前も頑張れよ」
「はいっ!」
『うわぁぁ、似鳥きゅうううんっ!頑張ってね!』
「ありがとうございますっ///」
元気な返事をすればでは!と言い、行ってしまった
「んじゃ、俺も行くか」
『おう』
「………」
『……』
「……なんでついてくんだよ!?」
『いいじゃん。凛たんと一緒にいたいの♡』
「……きもちわりぃ。」
『ツンデレだねぇ〜もうっ』
凛は呆れた顔でそれだけ言って歩き始めた。その後ろをついてく
「れ…ちゃ…お……いて!」
「はる…ぱい…心配じゃないんですか!」
『あれ、真琴たちがいるよ!』
「凛ちゃん!と…蒼ちゃん!?」
前から真琴と怜ちゃんと渚が立ち止まってこちらを見て驚いていた
「あ?…お前ら…そいや、お前らも泳ぐんだったよな」
「あ、ねえ凛ちゃん、ハルちゃん見なかったかな?」
「ハル?」
『まだ戻ってきてないんだ…』
「ふっ、それほど俺に負けたのがショックだったのか?勝ち負けにはこだわらねぇ…タイムなんて興味ねぇとか言ってたくせに」
「勝ち負けじゃない…何か別の理由があったんじゃ…」
そう言った怜ちゃんに凛が睨んだ
「ああ?水泳に勝ち負け以外何があんだ!」
「「……」」
『…あるよ。少なくともハルにはあると思ってた、と思う』
「だから凛との勝負に挑んだんだ。でもそれを最初に教えてくれたのは、凛、お前だろ?
小学校の時のあのリレー、あのときにお前が、」
「知るかよっ!!!
兎に角俺はハルに勝った!!……それだけだ。」
『凛……』
「っ…わりぃ」
大声を出した凛に驚いてると凛は私の頭に手をポンっと置き、その場を去った
「リレーって…?真琴先輩たちは昔あの人と一緒にリレーを泳いだんですか?」
『泳いでたよ!』
「言ってなかったっけ?」
「色々あったとしか聞いてませんよ!そんな中だったんなら何故、」
「まあまあ、怜ちゃん落ち着いて!それよりハルちゃん探さなきゃ!」
「いや、今はそっとしておこう。ハルのことだから、今は誰とも話したくないと思うんだ…それに、もうすぐ俺たちの試合が始まる。今は自分にできること精一杯やろう」
「うん」
「はい」
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「遙は、どうしたんだ?」
「ああ…まだちょっと見つからないんだ…」
「まったく、何やってんだ。もうすぐ真琴が泳ぐってーのに」
「やっぱり呼んでくる!僕たちが泳ぐ所をハルちゃんにも見ててほしいから!」
『待って、私が行く』
渚が行こうとした所で腕を掴み、そう言うと早足で遙を探し始めた
『ぼーっとしてる遙ちゃんはっけーん。皆の試合もうすぐ始まるよ?』
さっき凛と座ってた所に遙が座っていた
「俺はいい」
『よくなーいっ!!』
遙の手を無理やり引っ張って応援席に戻った
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