銀月短編

□秘密の月詠
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どうもおかしいと思っておりんした。
よもや。
銀時が。
邪魔をしておったなどと。
嫌がらせか!?
嫌がらせか!?コノヤロー!
あ。
しまった。
移ってしまいんした…。
全部、あのバカのせいじゃ!
コノヤロー!!

「秘密の月詠」

誕生日くらいゆっくりしなさいよ、と吉原を追い出された。
――どうせ、ここに居たんじゃ、あなた、働いちゃうでしょ?
――だったら、地上に遊びに行ってらっしゃい。
――日輪さまの言うとおりですよ。頭!
なんだかんだで気が進まないまま、地上に向かうエレベーターに月詠が乗り込んだのは、今から小一時間ほど前のことであった。
だが、既に月詠はやることもやりたいことも見つからないままで、途方に暮れていた。
銀時たちのところに行ってみようか?
そんなことも考えたが、夜になれば、ひのやで催されるささやかな誕生日パーティーに万事屋一行も招待されている。
昼の時間まで自分に費やさせるのはどことなく気が引け、月詠は当てもなくブラブラと所在なげに昼間の通りを歩いていた。
銀時たちには銀時たちの生活がある。
そこまで踏み込むことには躊躇があった。
わっちの誕生日など、どうということもない。
あの連中はいつものように飯をたかりに来るだけじゃ。
そもそも、この日が本当に自分の誕生日かと問われれば、月詠には自信がなかった。
あくまで便宜上のもの。
それでも、月詠の誕生日を祝いたいという皆の心は嬉しかった。
…生まれてきて良かったという思いがしんす。
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