銀月短編

□待つ男
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「ほれ、これで気が済むじゃろ?」
女はそう言って、三つ布団の上で科をつくった。
ああ、もう。
なんてこった。
銀時は内心のため息を押し殺した。
分かりましたよ。
日輪サン。
あんたの言う通りです。
「日輪がオメーにそんなことさせるわけがねェだろ!」
そう言い立てながら銀時は、わずか数日前の日輪との会話を思い出していた。


眠れない。
眠りに入ることができず、銀時は何度も繰り返し寝返りを打った。
戦闘後の高揚感や興奮のためだけではなかった。
ましてや、いつもと違う場所―ひのやの一室―で横になっているせいでもない。
地雷亜の放った火の消火に疲れきっていた新八と神楽は、ちょっとやそっとでは起きないと思われるほど、深く眠っていた。
安穏とした寝息が銀時の耳に優しく届く。
あいつは眠れているだろうか。
また、一人で何もかんも背負って苦しんでないだろうか。
抱き上げた時の、肌の感触がまだ熱く腕に残っているような気がして銀時は寝返りを打った。
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