銀月短編

□Hard Luck Woman
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莫迦な女じゃ。
その上。
運の悪い女にもなりんした。
月詠は、そう言うと空を見上げた。


「あれ?アイツは?」
ひのやに現れた銀時は、そこに目当ての人物の姿がないことに気付いて、開口一番に日輪に尋ねた。
「今日は非番だろ?」
不審げな銀時に日輪は生ぬるい笑みを返した。
「また、百華の詰め所に電話してあの娘の予定、聞きだしたね?」
「そうでもしなきゃ、アイツ、言わねーからな」
銀時はおもしろくなさ気にそう答えた。
「お生憎様だったね。月詠なら、地上(うえ)だよ」
日輪は人差し指を立てると上を指差した。
意外な返事に銀時はポカンとして、その指先を眺めた。
「あの、アバズレ!それならそうと言いやがれ」
「墓参りに行ってるはずだよ」
「誰の?」
銀時のこめかみがひくりと震えるのを見て取って、日輪は笑った。
「そんな顔しないでよ。安心して、あの人の墓じゃないから」
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