銀月短編

□臘月―優しい未来―
1ページ/8ページ

それは、万事屋からの帰り道のことだった。
「送っていく」と言うから、バイクかと思いきや、いっしょに歩き出した銀時に月詠は、笑いを漏らしつつともに夜道を歩いていた。
余程、誰かと一緒に居たいらしい。
……無理もない話じゃが。
神楽が、夢を叶えるため、父親とともに宇宙へと飛び立っていったのは、半年前のことだった。
その上、新八までもが、神楽に発奮された形ではあったが、道場再建に本腰を入れるため、目下奔走中とあっては、銀時の寂しさも理解できた。
月詠は、昨日の夕方、一人でひのやを訪れた新八の言葉を思い返していた。


新八が一人で吉原に月詠を訪ねてきたのは夕暮れ時のことだった。
珍しいこともある、と驚いていると開口一番、新八は銀時のことを喋り出した。
曰く、銀時の生活が荒んできていると。
「前は神楽ちゃんがいたから、どんなに飲んでてもちゃんと帰ってたし、曲がりなりにもご飯炊いて食べてたのに」
今は、飲み歩いて朝帰りもしょっちゅうみたいだし、食事はインスタントのカップめんみたいなものばかりみたいだし、部屋は荒れ放題だしとそう新八は言葉を連ねた。
「僕や姉上やお登勢さんがいくら言っても聞かないんですよ」
それなら、自分が説教したところで、あの男が大人しくきくとも思えないと言う月詠に、新八は笑って答えた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ