銀月短編

□女と毒
1ページ/10ページ

「では、お聞き届けいただけないということでしょうか?」
「無論。いくら、名高い日輪太夫の頼みごととはいえ、一介の民間人にこの星の運命を委ねる訳には参りませんよ」
警察庁長官松平片栗虎は精一杯のハードボイルドな顔を作って目の前の女たちに答えた。
土方は口を挟む術もなく、ただハラハラと成り行きを見守ることしかできない。
吉原桃源郷からの面会客、現在の吉原の実質的リーダーである日輪太夫と、自警団百華頭領の月詠の面会目的は、一言で言えば、『今回のことは坂田銀時に全て任せろ』といった無茶苦茶と言えば、無茶苦茶なものだった。
いくら美女二人の頼みごととはいえ、当然、松平のおやっさんが首を縦に振るはずもない。
にべもなく断られた日輪太夫はそれでも悠然たる笑顔を崩さない。
大したものである。
おやっさん、気をつけろよ。
その女をただの元花魁と思ってたら大火傷するぜ。
土方は松平の後ろで心の内で呟いた。
当の松平は、付き添って日輪の車椅子の脇に立つ月詠のスリットから見える脚線美を好色極まりない顔でチラチラ見ていた。
アホか!
自分たちのトップとは言え、ブン殴りたい衝動に土方は駆られた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ