銀月短編

□白い花咲く
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夕方頃に振り出した雪は、夜には既に辺りを薄っすらと白く染めていた。
「明日は積もりそうだな」
「そうじゃな」
この雪だ。
いつもなら、泊まっていけと言うところだが、今日はそういう訳にはいかなかった。
さすがに日輪と晴太に悪い。
「明日は、文句言われるだろーな」
「そうじゃろうな」
銀時は月詠の顔を覗き込んだ。
「何か気掛かりな事でもあんのか?」
表情が微かに曇っている。
この後に及んでバカなこと言い出されては、困るが、直前になってバカなこと言い出されては、もっと困る。
「怖いんじゃ」
ほら、来た。
銀時は腹に力を入れた。
「あのような格好をしていいんじゃろうか?」
「似合うと思うけど?」
何が言いたいのかを分かっていながらも、銀時はとぼけた。
「そういう意味ではないわ。たわけ」
返事と同時に腹にパンチを食らったが、いつもの力は感じられない。
「わっちは血塗れじゃ。神聖も純潔もありんせん。滑稽じゃ。許されるとは思われぬ」
「純潔に関しては奪ったの俺だし、いいんじゃねーの?」
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