銀月短編

□白い花
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表面上は何も変わらない一年だった。
一番、変わったのは月詠自身かもしれない。
以前は日輪がどんなに煩く言っても、外にでていかなかった女が、今では日輪の名代として、地上の政財界や文化人の集まりに顔を出すようになった。
それに伴い、月詠の姿も変わった。
季節の花をあしらった美しい着物姿で出歩けば、自然とそれは人の目を惹き付けた。
そして、そんな日は時々万事屋にやってくるのだ。
嫌味だとは思ってはいなかった。
それは『私は大丈夫』というメッセージ代わりだろうと銀時は思っていた。
新八や神楽はさすがに銀時と月詠の関係が変わったことを察知し、心配した。
喧嘩でもしたのかと問い詰めてきたものだ。
『喧嘩でもしたアルか?銀ちゃんとツッキーが喧嘩していないなんて!』などと訳の分からないことを神楽が言ってたっけ。
銀時は苦笑した。
二人とも、最初の内こそ銀時をしきりにけしかけて来たものだが、最近はあきらめモードに入ってきている。
神楽にいたっては銀時の『寂しい侘しい』老後の心配をしているようだ。
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