銀月短編

□白い花
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そう遠くない未来に。
俺は。
目の痛いほど白い。
胸の潰れそうなほど白い。
綺麗な白い花を見ることになるのだろうか。

椿、梅、桜、杜若、梔子、百合、菊。
その女は衣にのせて季節の花を運んできた。
今年最後の花は、その女の立ち姿にも似た水仙だった。
「良いお年を」と言うと、月詠はにっこり笑って、艶やかな花の色と香りを残して、万事屋を後にした。
「ツッキー、今日も綺麗だったアル」
感に堪えない様子で神楽が言った。
新八もそれに同意する。
「もともとお綺麗な人だからね。月詠さんは」
「そうだな。綺麗だな」
同意をした銀時に神楽と新八が出来損ないのため息のようなものを吐いた。
銀時は苦笑してそれをやり過ごした。
あの日から一年近くが過ぎていた。
銀時が安心したことには、月詠は地上の人間との縁まで切ることはなかった。
万事屋にも日輪から言付かった土産を持って、時折だが顔を出した。
お妙や猿飛とも偶に会っているらしい。
九兵衛にいたっては吉原に招かれて、百華の女たちに剣術を指南したりもしていると銀時は聞いていた。
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