銀月短編

□群雲
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それは、全て、銀時を介在として繋がった人たちばかり。
銀時以外の話題など月詠にはなかった。
重い疲労感に耐え切れず、ため息を漏らしそうになった時、背後の戸口がカラリと開いた。
振り返ると、真選組の土方が立っていた。
「ああ、頭来てたのか」
「土方殿、久しぶりじゃの。今来たのか?」
月詠は、救われたような気分で土方を見上げた。
「来たっていうより、近藤さんを回収しに来た」
土方は憮然とした表情で騒ぎの中心に親指を向けた。
親指の先では、近藤がお妙に見事な蹴りを喰らっているところであった。
ブホォと奇声を上げて近藤が倒れ込む。
「なかなか大変じゃの」
「大変なんてもんじゃねェぜ」
土方はそう嘆息混じりに言うと月詠の隣に腰を下ろした。
「ほれ」
月詠は灰皿を土方との間に引き寄せた。
「ああ、すまねェ」
煙草に火を付けて、深くその煙を吸い込み、吐き出したところを見計らって、月詠は土方に尋ねた。
「どうじゃ、最近は?」
「大したことはねェな。年の瀬で喧嘩やら酔っ払いやらに忙殺されてるだけだ。ソッチもご同様だろ?」
「まあな。地上も似た様なものか」
「人のやる事なんざ、何処でもさして変わりねェよ」
「もっともじゃの」
月詠は口元を少し緩めた。
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