銀月短編

□会いにいく
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「お疲れさま〜」
「2次会いく人〜?!」
合コンの1次会がはけて、店から出てみれば、夜空には満天の星空が広がっていた。
夕方に降ったお天気雨が、都会の空を一洗いしてくれたらしい。
銀時は夜の空気を深く吸い込んだ。
夜空になんとなく物足りなさを覚えてふと気付く。
今夜は朔か。
月が出ていない。
「金時、おんしも2次会、行くじゃろ?」
腐れ縁の友人が声をかけてきた。
「坂本、てめぇ、俺は銀時だ!」
「まあ、まあ、固いことは言わんと。で、どうする?」
「そうだな…」
集まった女の子たちは可愛い子揃いだった。
文句なしに楽しかったと言える。
まあ、例え、全員が高杉狙いだったとしても。
銀時は苦笑した。
店を出て、この夜空を見上げるまでは、2次会に参加するつもりでいた。
なのに、今、すっかりその気は失せていた。
「やめとくわ。帰る」
「おんし、どうしたんじゃ!金時が可愛いおなごを目の前にして、帰るなんぞ!これはまた雨が降るに違いないじゃき」
「ウルセーよ。それから、俺は銀時だっつうの」
ひらひらと手を振って銀時は、2次会に参加する友人達と別れると、夜の街を駅に向かって歩き出した。
雨に洗われた空気が清々しく妙にホッとした気分になる。
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