銀月短編

□10年後の君へ
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「じゃーん!!」
若干、テレながらも神楽が、月詠といっしょに銀時の私室から効果音付きで出てきた。
着ているのはいつものチャイナ服ではない。
かねてから、日輪に仕立ててもらっていたお出かけ用のチャイナ服。
吉原一と謳われた太夫時代の日輪の豪奢な打ち掛けを仕立て直したものだから、素材、デザインともに申し分ない。
濃い朱金の地に金糸銀糸で文様化された草木と翼を羽ばたかせた小鳥が一面に細かく織り込まれている。
神楽の誕生日にと用意されたものだった。
華やかだが、遊ぶ鳥の文様が神楽に似合っていると銀時は思った。
今日、神楽がまた一つ年をとる。
「神楽ちゃん、似合ってるよ」
新八がにっこりと笑って褒めた。
生憎と、銀時はそこまで素直ではない。
「つうか、神楽、そんなの着て行くとこあんのかよ」
「うるさい、銀ちゃん。レディーに失礼アル」
「そうじゃ、銀時。そもそも、ぬしに連れていくだけの甲斐性がないだけの話ではないか」
月詠はぐっさりと銀時の心にクナイを突き刺すと、惚れ惚れと神楽を眺めた。
「よく似合っているでありんすよ。銀時のことは放っておきなんし。そもそも、このチャイナ服の仕立てを日輪に頼みに来たのは銀時じゃ。全く、素直でないのう」
「げっ!?オメー、それここで言う?どんな羞恥プレイな訳?!」
銀時は慌てた。
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