銀月短編
□月宵墓標
1ページ/10ページ
夢を見ていた。
ガキの頃の夢だった。
いや、違う。
ガキが夢見た夢だった。
先生やヅラや高杉と月見をしていた。
となれば、俺らは子供のはずなのに、ヅラも高杉もそれから俺も現在の俺らだった。
先生だけがあの頃と変わりなく穏やかに笑っていた。
馬鹿話に興じて笑いあった。
電波な発言を繰り返すヅラ。
その電波っぷりにくってかかる俺。
我関せずとすかした様子で煙管を吹かす高杉。
その様子を楽しげに見ている先生。
それぞれの手には月を映した杯があった。
…過去が見せる残酷な夢だった。