銀月短編2

□放埓と野蛮
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気が付けば、周囲にあれほど居た花見客も月詠のご乱行ぶりに恐れを為したのか、潮が引くように誰もいなくなっていた。
満開の桜を一人占め(正確には二人だが)という贅沢な状況もこれでは台無しである。
というか!
コイツ、ほんとにジャッキーィィィ?!
オメーの師匠って酔拳の使い手だったけ?!
あんなオモロイ酔いどれじじいじゃなかったよね?
普通、これだけ飲めば、足元が覚束なくなったりィ(蹴りは正確、威力は十分、早すぎてそのおみ足の奥のパンツも見えない)、手元が怪しくなったりィ(見事な掌底打ちを顎に喰らった!)、目が霞んだりィ(なんでクナイの狙いが外れない?!つーか、俺の目が霞んできた)するもんじゃねーの?!
「酒が足りない!酒もって来いィィィ!!!」
「た、太夫、もうその辺で止めておいた方がよろしいかと」
「うるさーーい!!!!」
「太夫、怪物くん?!あっ、もう十分、怪物くんだよね?!」
「ドラ○もん以外の藤子ネタは分かりにくいィィィ!!!」
月詠がそう叫んで空の一升瓶を振り上げるのを見て、銀時は目を剥いた。
ヤバイ。
咄嗟に来るべき衝撃に備えて、防御の姿勢を取った銀時だったが、その一升瓶が自分に向かって振り下ろされる気配はなかった。
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