銀月短編2

□袖
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「あっ、副長、万事屋さんと百華の頭が」
山崎は、隣を歩く土方に声をかけた。
視線のその先にはかぶき町の往来を歩く銀時と月詠の姿があった。
何かを語らいながら、大股で裾の流水と紅葉を翻しながら、歩くその姿は何やら人の目を惹きつける魅力があった。
現にすれ違う土地っ子もよそ者もこぞって振り返り二人を見ている。
お似合いだなと山崎は思った。
「ああ」
短く答えて土方は、山崎と同じように道路の反対側を歩く二人に目をやった。
「お似合いですね」
「確かにな」
意外にも同意が返って来たことに多少驚いて、山崎は土方を見た。
「なんだ?」
いぶかしげに問い返す土方に山崎は苦笑しつつ答えた。
「いや、普段、あのマダオにはもったいないってよく言われてるので」
そんなことか、と土方も苦笑した。
「アイツ等はピンで考えると、そんなに似合うとも思えねえが、二人並ぶと妙にお似合いになると思わねえか?」
確かに。
山崎は納得した。
真性マダオの万事屋さんと有能で気遣い万端の百華の頭では、それぞれ別個に考えると、似合うようには思えない。
それでも、二人一緒に目に映るその姿はどこまでもお似合いだ。
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