君と見るキセキ
□第4Q
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「・・・お前らいつからそんな仲良くなったんだよ?」
火神が疑問を口にすると、他の部員も頷く。
『前に涼太が乱入した辺りだよね』
「乱入って・・・まぁ、そおっスね。あの日黒子っちと忍っちにフられてから毎晩枕濡らしてるんスよ!」
『べ、別にフったわけではないでしょ!ただ知り合ったばかりだから答えれなかっただけで・・・』
慌てて訂正すると、誠凛の皆から驚きの声があがる。
「黄瀬君、忍のこと好きなんですか?」
真っ先に声を発したのは黒子だった。
その表情は様々な感情が入り交じったような、戸惑いのような・・・
「・・・好きっスよ。こんな気持ちは初めてっス。
だから今日の試合は負けられないんでね。悪いけど本気でツブすっスよ」
挑発的に黄瀬が言うと、火神は口の端を釣り上げる。
「ったりめーだ!」
『てか、なんで私のこと好きだからって負けらんないの?』
「そりゃ、格好いいとこ見せたいじゃないっスか!」
『でも私誠凛だし。まぁ、負けないけど。それに、格好いいとかに勝ち負け関係ないでしょ?要は内容じゃん!』
ムッとした表情で忍が言うと、キョトントする黄瀬。
黒子は僅かに、誰にも分からないくらいの笑顔を浮かべていた。
「何言ってるんスか?だって負けたら格好悪いじゃん」
『はぁ、だから帝光のバスケは嫌いなんだ』
「え?」
『勝てばいいって考えが嫌いなの!ただの個人技、個々の強さだけってバスケはつまんない!そんなのチームでプレイしてる意味ないじゃん。1on1で十分。何のために5人いるの?互いを支えて勝利を掴むために協力するからでしょ?』
早口に言うと、誠凛メンバーは皆口元を緩める。
「そうね、忍の言う通りだわ!」
「ああ、よく言った!」
「俺なんか感動しちゃった!」
リコ、日向、小金井が口々に言うと、ニシシと忍は得意げに笑う。
「分かんないっスね。結局各々が強くなきゃ勝てないっスよ」
『馬鹿なの?そのための練習でしょうが!てか、早く案内してよ』
これ以上話し手も無駄だと思い呆れ顔で催促すると、黄瀬は納得いかない表情で案内をする。
はあ、とため息を付くと隣に来た黒子。
「さっき格好良かったです」
『テツヤ・・・本当に思ったこと言っただけだよ。分かってはもらえなかったけど』
「それでも嬉しいです。帝光で僕の考えは間違っていると思われていました。でも、それを間違えていないと言ってもらえたような気がしました」
俯きながらも笑顔で話す黒子に、胸がギュッと締め付けられたような感覚になる。
黒子は自分一人では力になれない。
脇役として居続けなければならない。
しかし、個人技に長けている帝光バスケでは必要とされなくなってしまう。
嗚呼、だから帝光は好きになれない。
『テツヤ、必ず勝つよ。それでキセキの世代に分からせてやればいい。テツヤは間違ってなかったって』
「!・・・はい」