君と見るキセキ

□第3Q
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「おー、ここか誠凛。さすが新設校キレーっスねー」






     ダンッ
 
 ダムッ



   キュッ




『(ふむ、伊月先輩も良い感じに喰らい付いてるけど、やっぱり大我は抜くだろうな)』



練習風景を見ていた忍がそう考えていると、火神はフルスピードから伊月を軸に切り返しダンクを決める。




『くはー!大我のダンクはなんかスカッとするよね!・・・あ、マネジもしないと!』




つい熱くなっちゃうんだよねと呟きタオルを用意しようと立ち上がる。
その時あることに気付いた。



『なんかギャラリー多くない?』





周りには色紙を持った女子がごった返していた。
一際人が集まるところに目を向けると



「あーもー・・・こんなつもりじゃなかったんだけど・・・」



「「『!!!』」」



「あいつは・・・」

「お久しぶりです・・・」



『黄瀬・・・涼太・・・?』




「すいませんマジで・・・え〜と、てゆーか5分待ってもらっていいっスか?」







丁度5分が経過し、黄瀬が此方に近づいてくる。



「いやー、次の相手誠凛って聞いて、黒子っち入ったの思い出したんで挨拶に来たんスよ!中学で一番仲良かったしね!」

「普通でしたけど」

「ヒドッ!」




黄瀬涼太

中学2年からバスケを始めるも、恵まれた体格とセンスで瞬く間に強豪・帝光でレギュラー入り。
他の4人と経験地の差はあるが急成長を続けるオールラウンダー。

そんな傍らモデルも勤めている。





『(・・・気に食わない)』




忍が黄瀬を睨んでいると、視線に気付いた黄瀬がこちらを見る。



「あのー、なんでそんなに睨まれてるんスかね俺?」

『チャラ付いたやつは嫌いなんだよね。てかスポーツやるってのにピアス着けんなよ。引き千切っていいの?』

「怖っ!?てか想像するだけで痛いっスよ!」

『知らん!』

「えぇ!?女の子にここまで言われたの初めてっスよ」



黄瀬が半泣きで叫ぶと、忍は黄瀬のネクタイを掴み思い切り引っ張る。
近づいた耳元に黄瀬にだけ聞こえるように



『何より、その上っ面に浮かべたうそ臭い顔が一番気に食わない・・・。人馬鹿にすんのもいい加減にしてくんない?』


「!?」




怒りの篭った言葉に、黄瀬は目を見開いた。
そして更に強くネクタイを引かれ、バランスを崩し床に手をつく。



『周りの女子と一緒にしないでよね』



ニヤリとに下すような視線。
ポカンとしていた黄瀬だったが、肩を震わせた。



「ヤバイ・・・その視線ゾクゾクするっスね」

『へえ、そんな顔も出来るんだ。そっちの方が断然魅力的だと思うよ?』

「そりゃどうもっと!」




忍が手を差し出すと素直に掴み立ち上がる。




「名前、聞いても良いっスか?」

『萩野 忍!苗字で呼ばれるの嫌いだから忍でお願いね』

「忍っちスね!俺のことは涼太で!」

『ちょっと待った。“っち”って何?』

「俺、認めた人には付けるんス!」

『・・・ありがたいけどなしの方向で。』

「そんなに嫌っスか?」




クゥ〜ンと効果音が聞こえてきそうな、子犬みたいな目で見る黄瀬。




『涼太、あんた結構あざといよね』

「いやー、何の事っスかね?」




白々しく答える黄瀬の表情が険しくなり、忍の腕を引っ張ると体の前に手をかざして身を守る。



   バシッ



『ほぁ!?』

「った〜。何?危ないじゃん。忍大丈夫っスか?」

『あ、うん。てか何あったかわからんかった』



ポケッとしていると、火神が目をギラギラとさせながらボールを投げていたらしい。



『ちょっと、当たってたらどうすんのさ!?』

「わりぃ、そこまで考えてなかった」

『んな!?』

「そんなことより、せっかく来て挨拶だけもねーだろ。ちょっと相手してくれよイケメン君」

『そんなことだと!?』



顔を真っ赤にしながら怒る忍を宥めようと黒子がやってくるが、どうにも興奮冷め止まない状態だ。



「ん〜、よしやろうか。良いもん見せてくれたお礼!忍っちこれ持ってて」

『え、ちょッ!』




黄瀬からブレザーとネクタイを渡され、仕方なく受け取る形になってしまった。



『テツヤ、これマズくないかな?』

「そうですね。僕もそんな気がします」





   
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