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□標的12
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「はぁ〜・・・」

『どうしたんですか?大きなため息ついて』

「実は今日、朝からひどい目にあってさ・・・」







浮かない表情のツナに問いかけると、見知らぬ女の子に殴られたと言う。
しかも誤解にも関わらず2度も。







「とにかく話通じないし、変な奴だったんだって!」

『あー・・・・その子って緑中の制服着てませんでしたか?』

「え?どうだったかな・・・そこまで見る余裕なかったし」

『そうですか。・・・気をつけて下さいね』








多分、また絡んでくるだろうから。
とは言わない。


授業開始のチャイムが鳴り、各々が席に着く。






『ついにあの子と会えるのかな?』






顔を綻ばせながら退屈な授業を受ける。
分かり切っている内容の授業は退屈で、次第に睡魔が襲ってきた。






『ふぁ〜』

「授業中にそんな堂々と欠伸しないでくれる?」

『・・・すいません』

「眠気覚ましにこの問題の説明してもらうかな。前出てきて」

『チッ・・・・』






周りに聞こえないように小さく舌打ちをして前に出る。
失敗した。
基本的に、風紀委員である与魅に関わる教師はいない。
まあ、当てられても答えられるから良いのだが。
しかし、こいつ・・・杉浦翔也は違う。
何かと絡んできて正直面倒くさい。







『あんた面倒くさくなったから押し付けただけでしょ?』

「え〜?何のこと?」

『・・・後で一発殴らせろ』

「おお、怖い怖い!」







小声で会話し、何を言っても無駄だと思った与魅は諦めて、問題を解く。
席に戻ろうとすると、問題の解説までするように杉浦が言うため鋭い視線を向けた。




『嫌がらせですか?』

「違う違う!だって、皆わからなさそうな顔してるよ?」






・・・・・確かに。
一部の人間を除いて、疑問を浮かべている。
特にツナは全く理解できていないのだろう。
目を白黒させていて、今にも頭から煙が出てきそうな状態だ。







『はぁ、本来ならあんたがやらなきゃならないことなんだからね』

「そう言いつつもやってくれんだろ?優しい生徒を持って幸せだなぁ!」

『ウザイ。禿散らかせ』

「そこまで言う!?」






   

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