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□標的10
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与魅の1日は5:00の目覚めから始まる。
『ふぁ〜。眠い・・・。取り敢えず顔洗うか』
顔を洗い制服に着替える。
エプロンを付け台所へ。
『今日は朝食何にしようかな?ほうれん草のお浸しあるから出して、なめこのお味噌汁作るか。メインは・・・あ、向かいの松村さんから立派な銀鮭貰ってたんだ!それ焼くか!』
メニューが決まると手際よく調理する。
6:00頃には大方準備が整い、雲雀が起きてくる。
「おはよう。今日は焼き鮭?」
『おはよう雲雀さん。この間松村さんから貰った銀鮭焼いたんだ!ご飯盛るから座ってて』
「いや、お茶入れるよ」
『そう?ありがとう』
「玉露で良いでしょ?」
『そんな良いお茶使わなくて良いよ!』
「僕が飲みたいの」
『・・・・なら聞かないでよね』
朝食を並べ、2人で食べ始める。
和食が好きなだけあって、焼き魚も綺麗に食べる雲雀。
こんなに綺麗に食べてもらえたら魚も本望だろう。
『この鮭美味しいね。脂の乗りも良いし、おろしと合う』
「ああ、それに塩加減もちょうど良い」
『そこは私の腕の良さだね』
フフンと得意げな顔をすると、雲雀は軽く立ち上がり与魅の頭を優しく撫でる。
『へへへ』
「なに笑ってるの」
『頭撫でられるの好きなんだもん!』
まったりした時間を過ごし、お弁当の準備も済ませた。
食器を洗い、簡単に掃除機もかける。
『はー!スッキリ!』
「今日は仕事多いから早めに行くよ」
『はーい。今鞄取ってくる』
鞄を手にし玄関を出ると、雲雀がバイクを用意して待っている。
慣れた手つきでメットを被り後ろに跨がる。
はじめは怖がっていたが、慣れれば気持ちが良い。
『あ、雲雀さんストップ。1回下ろして』
バイクから下り駆け出す。
視線の先にいたのは、キョロキョロと周りを見渡すお婆さん。
『どうかされましたか?』
「孫娘に、この辺りに駅まで行くバスがあるって聞いたんだけどみつからなくてねぇ」
『それならこちらですよ。恐らく道を1本間違えてしまったんでしょう』
「あぁ、言われてみれば2本目じゃなく1本目って言っていた気がするよ」
『すぐそこなのでご案内します』
「あらあら、わざわざありがとう」
バス停まで送り届けると雲雀の元へ戻る。