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□標的6
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『雲雀さん、今日も平和だね〜』

「・・・遊んでるわけじゃないんだよ」




休日にも関わらず2人は制服を着て歩いていた。
理由は簡単、並盛を巡回中だからだ。
断じてデートなんて浮ついたものではない。




『でも、それはそれでつまらないんだよね』

「気持ちは分かるけどね。まあ、僕の並盛が乱されるのは我慢ならないけど」

『プププッ、実は雲雀さんが一番ウズウズしてるんじゃない?最近特に何もなかったし』





悪戯な笑みを浮かべると、雲雀は不機嫌そうに与魅を睨みつける。





「ふん、なんなら僕が相手してあげようか?」

『えー、私負けないし』

「咬み殺す・・・」




一層不機嫌そうな表情を浮かべ、雲雀は愛用のトンファーを取り出す。
その行動を見て与魅は口角を上げた。
正直体が鈍ってる気がしてならなかったから、あえて挑発してみたのだ。
作戦は成功と言えるだろう。
笑みを浮かべたまま与魅は薙刀を構え、どちらからともなく距離をつめる。




『少し・・・手加減した・・ほうが良い?』

「ワオ、バカにして・・るのかい?」

『フハッ!わ・ざ・と!』



住宅街であることも気にせず、互いに容赦ない攻撃を加える。
辺りには金属音のみが轟いていた。





「うわぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁん」






と思っていたが、何者かの泣き声が木霊した。





『うぉっ!?』




雲雀と距離を取ろうと後方に飛ぶと、誰かとぶつかってしまった。
戦闘に集中しすぎていたため、先ほどの声が2人には届いていなかった。




『すいません!大丈夫ですか?』

「たたた・・・これはこれは若き与魅さんじゃありませんか」

『え・・・もしかして・・ランボ?』




目の前にはクセッ毛に角を突け、牛柄のシャツを着ている伊達男・・・否、10年後のランボが居た。




「若き与魅さんもお美しい。今日は厄日かと思っていたがそうでもないようだ」




そう言ったランボは与魅の手の甲にキスを落とした。




『ちょっ!何してるんですか!?』

「咬み殺す・・・」




ゆらりと奥から雲雀がやってくる。
その表情は、あまりに黒いオーラを纏っていることによって確認できない。




『(なんかすっごく怒ってる!)』

『は!・・・あ・・・貴方は・・・』





ようやく雲雀の存在に気付いたようで、顔を真っ青のしながら後ずさる。





「逃がしはしない」




雲雀がトンファーを振り下ろしたと同時に、ボフンという音とともに煙が立ち込めた。




「あららのら?今度はお外に出たんだもんね」




雲雀の攻撃は空を切り、足元にはモジャモジャ頭のランボが居た。




「ん?お前誰?おれっちはランボさんだもんね!」

『私は与魅と言います。ランボさんはどうしてここに?』

「あ・・・お、おれっちは・・リボーンを倒して・・・ファミリーのボスに・・・」





ガタガタと震えだしながらも話し出すランボ。
それを見て大体何があったのか理解し、相当恐怖を刻み込まれたランボを不憫に思った。





『ほら、泣かないで下さい。男の子でしょう?』

「うぅ・・が・ま・ん」

『いい子ですね。飴ではありませんが、ご褒美にチョコあげます』

「うわーい!ランボさんチョコもだーい好きだもんね!」




喜ぶランボを見て与魅も笑顔を浮かべた。
が、背後から感じる殺気に気付く。





『(やば、忘れてた・・・)』

「与魅、さっきに男はどこに行ったの」







暗黒オーラを全身に纏った雲雀に、思わず身震いした。
この怒りは、ランボが与魅にキスをした為か、咬み殺し損ねた為か・・・
はたまた両方か・・・?







    
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