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□標的4
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「川田」
「はい」
「栗原」
「はい」
現在、理科のテストを返却されています。
『(これってあの話かな?)』
頭を抱えているツナを見ながらぼんやり考えていたら
「沢田」
「はい」
ツナが根津によばれ、顔を青くしながら教卓に向かう。
「あくまでも仮説の話だが・・・・クラスで唯一20点台をとって、平均点を著しく下げた生徒がいるとしよう。エリートコースを歩んできた私が推測するに、そういう奴は学歴社会において足を引っ張るお荷物にしかならない」
『(やっぱりこれは・・・)』
「そんなクズに生きている意味があるのかねぇ」
「うわーー!」
嫌な笑みを浮かべながら、根津はペランとわざとらしく点数を晒す。
『(本当に最低な奴だな・・・。制裁を加えるか)』
立ち上がろうとしたとき
ガラッ
「獄寺君・・・」
「コラ!遅刻だぞ!今頃登校してくるとはどういうつもりだ!」
悪びれる様子もなく入ってくる獄寺に怒鳴りつけるが
「ああ!?」
鋭く睨まれ押し黙ってしまった。
『(ビビるなら言わなきゃいいのに)』
呆れて制裁を加える気がなくなり座り直すと、獄寺が元気よくツナに挨拶した。
「あくまでも仮説の話だが、平気で遅刻してくる生徒がいるとしよう。そいつは間違いなく落ちこぼれのクズとつるんでいる。なぜなら、類は友を呼ぶからな」
どや顔で言い切る根津に獄寺が食いつく。
「おっさんよく覚えておけ。10代目沢田さんへの侮辱は許さねえ!」
ガッと胸ぐらを掴むと、根津は慌てて仮説であることを強調し、
ツナは名前を出されて慌てている。
『はぁ。獄寺君とりあえず離しましょう』
獄寺の肩を叩き言うと、不満そうに離した。
「ゴホゴホッ。た、退学だー!」
そう叫び、(なぜか私まで)校長室に連れてこられた。
「連帯責任で3人共退学にするべきだ!」
『ちょっと待って下さい。何で私まで?』
「クズに集まるのはクズだ!故にお前も退学だ!」
『私がクズ・・・ですか。つまり、私の所属する風紀委員もクズの集団で、雲雀さんもその1人だと言いたいんですね』
「あ・・・」
淡々と言うと、根津は自分がとんでもないことを言ってしまったと気付き顔を青くする。
『でも安心して下さい。雲雀さんには言いません。その代わり、根津先生にはこの問題を解いていただきましょうか。』
「え?」
ぽかんとする根津に、与魅は一枚の紙にサラサラと何かを書き差し出す。
『あなたが本当にエリートならば簡単なはずです。ちなみに、その問題は1流大学卒業者の回答率100%です』
用紙を見てダラダラと汗を流す。
『ツナ、獄寺君。グラウンドに40年前のタイムカプセルがある筈なので捜してきて下さい』
「何でお前の言うこと聞かなきゃいけねえんだよ」
コソッと2人に耳打ちすると獄寺が反論する。
もちろんこれは想定内だ。
『この前私に負けましたよね』
「チッ・・・」
ニッコリ微笑むと黙って出て行った。
『素直な子は嫌いじゃありません。
さぁ根津先生。頑張って解いて下さいね』