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□標的2
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『はわ〜。立派なとこですね』








目の前には生活観はあまりないが、広い部屋があった。






「何してるの。与魅はこの部屋使っていいよ」

『はーい』




雲雀に案内され、キョロキョロとまわりを見渡しながら後をついて行く。





「そういえば荷物とかは?」

『ないですよ?手ぶら一文無しです』



ケロッと答えると雲雀は眉間に皺を寄せる。




「そうゆう事は早めに言ってくれる?」

『だって聞かれなかったんで』

「聞かれなかったら言わないの?」

『突然宣言しても変じゃないですか』




雲雀がイライラしているのが目に見えてわかる。
そんな様子を見て、与魅はむしろ楽しんでいた。



『(わっかりやすいな。実際目の前にするとかなり面白い人だ)』




顔には出さず考えてると、雲雀の口が開く。




「出かけるよ」

『え。どこにですか?』

「与魅のものなかったら不便でしょ。日用品も必要だし」




その言葉に与魅は驚いた。




普段は群れるのが嫌いな雲雀さんが、自分の為に出かけようとは。




『意外に優しいんですね。』

「勘違いしないでよ。その分、仕事と家事で働いてもらうからね」



早く行くよ。と早々と玄関に向かう。


『(・・・ツンデレ?)』


ニヤニヤとしながらも、雲雀の新たな一面を垣間見て心が躍る。







前の世界では全てが偽りだった。
だから何かをされても特に何も思わない。
しかし、こっちに来てからはありのままの自分でいた。
猫を被るのに疲れたってのもあるが、単純にパニックになっていて素が出てしまっていたのだ。
正直、自分でも性格が良いとはお世辞にも言えない。
にも関わらず、自分の為に雲雀は動いてくれた。
初めて会ったわけのわからない相手に。



単純に嬉しいと感じたんだ。







「何ボーっとしてるの。早くして」


声を掛けられハッとする。


『すいません!今行きます!』




そして2人は街に出た。







  
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