君と見るキセキ

□第4Q
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『うは〜、広いですね』

「やっぱ運動部に力入れてるとこは違うねー」




練習試合のため私達は、海常高校に来ていた。



「火神君、いつにも増して悪いです。目つき・・・」




充血し、濃い隈を拵えた火神に黒子が言う。



「るせー。ちょっとテンション上がりすぎて寝れなかっただけだ」

「・・・遠足前の小学生ですか」

『ブォッフォ!』




黒子の例えに思わず吹き出す。




「お前それでも女かよ。オッサンみたいな吹き出し方してんぞ」

『うっせ!これでもちゃんと乙女だよ!』

「いや、乙女ってキャラではないだろ」

『んなっ!?』


「お前ら遊びに来た訳じゃないんだからな」



ギャーギャー騒いでいると、黒い笑顔を浮かべた日向に注意された。



が、そんな事は気にせずに日向にも絡み出す。



『順平先輩!先輩なら分かってくれますよね!?』

「は?なにが?」

「忍の女らしいトコなんて見つかるわけねーだろ。何もかもちんちくりんだし」

『乳か!?それは主におっぱいのこと言ってんのか!?』

「いや、おっぱいとか言うなよ」




呆れ顔で日向がツッコむが、2人の耳には届かず・・・



「僕は女の子らしいと思いますよ」

『え?』




唐突に口を開いた黒子に皆が目を向ける。




「忍はいつも元気で明るい女の子です。僕は忍のような女の子好きですよ」

『テ・・・テツヤーー!』



忍は叫びながら黒子に抱き付く。



『ありがとう!なんかすごくキュンとしたよ。ときめいちゃったよ!』

「なら付き合っちゃいますか?」

「それは駄目っス!!」




声のする方に目を向けると、険しい表情の黄瀬がいた。




『あれ?涼太どうしたの?』

「なかなか誠凛さん来ないから探しにきたんスよ!それより何で黒子っちに抱きついてるんスか!?」




2人を見ながら叫ぶ黄瀬に、興奮してついと答えると



「黒子っちいつからそんな軟派な男になっちゃったんスか・・・」

「失礼なこと言わないで下さい。僕が興奮した訳じゃないです。それに黄瀬君には言われたくありません」

「ヒドッ!」



少し不機嫌そうに言う黒子に、黄瀬は泣きそうな顔になった。



「忍っち慰めて!」



そう言って黄瀬が忍に抱き付くと、みるみるうちに顔が赤くなる。



『ちょっと!離して涼太!』

「嫌っス。黒子っちにもしてたじゃないっスか」

『それとこれとは別!』

「じゃあ、あと10秒だけ。俺会えなくてマジで寂しかったんス」



腕に力がこもるのが伝わる。
きっと本当に寂しかったのだろう。
黄瀬の周りに本当の彼を理解してくれる人がいないのか心配になり、自然と背中をポンポンと叩いていた。





   
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