君と見るキセキ
□第8Q
3ページ/6ページ
『どう?テツヤ。吐き気とかはある?』
「今のところ大丈夫です。すいません。心配かけてしまって」
忍が応急措置を施していると、シュンとした表情で黒子が謝ってくる。
一瞬包帯を巻く手が止まり、キョトンとする忍。
だが、すぐにまた動き始めて、大きなため息をつく。
『何言ってんの。こんな時に心配しないようなら仲間じゃないでしょ!ぶつけたのが頭だし、脳震盪起こしてる可能性もあるからね。気持ち悪くなったらすぐに言って!』
「分かりました。ありがとうございます」
『いーえ!さ、応急措置完了!今はゆっくり寝てて。かなりフラフラでしょ?少し頭高くして横にならないと。・・・・・・浩一のやつ、慌てて荷物めっちゃ離れたとに置きやがったな・・・・
・・・・テツヤ。膝枕でも良い?』
「・・・・え、あの。忍が良いのなら」
『なら、早く横になって休んで!』
ポンポンと膝を叩き、横になるよう促す。
オドオドとする黒子に、早くしろと言わんばかりの視線を送りようやく頭を乗せた。
周りの視線が気になるし恥ずかしさもあるが、ぶつけた衝撃と出血による目眩には勝てず意識を手放す。
「・・・・・・で、どうする」
「黒子君はもう出せないわ。残りのメンバーでやれることをやるしかないでしょ!」
『ここは2年生主体で行くべきではないですか?』
「そうね。まだ早いけど離されるわけにはいかないわ。“勝負所”よ、日向君!」
『大我はOF控えた方が良いですよね。涼太に返されてすぐ頭に血のぼるし。それなら、DFに専念した方が・・・・』
「そんな・・・!それで大丈夫なのかよ・・・・ですか?」
「大丈夫だって。ちっとは信じろ!」
明らかに不安そうにする火神に、日向がフォローをいれる。
それでも、火神がうだうだ言っていると・・・・
「大丈夫だっつってんだろダァホ!たまにはちゃんと先輩の言うこと聞けや殺すぞ!」
『ガタガタうっせんだよ。女子か!?テメーは黙って涼太足止めしとけばいんだよ!メンバーはずすぞ』
「・・・・・!?」
「行くぞ!」
忍の口の悪さには慣れていたが、日向の暴言に驚く火神。
そんなことは気にせずに、2年生たちはコートに戻っていく。