世界の果て

□雪が溶けるような
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「―――それで、話とは?」

「……これは氷河の将来に関する話だ。」



やけに真剣な表情で彼女が言った。

ひゅう、と二人の間を冷たい風が流れる。



「…分かった。
話してくれ。」

「ありがと。
この話は……カミュが最善だと思うタイミングで本人に話してほしい。
それまでは貴方の胸の内に留めておいて。
勿論話す必要が無いと判断したなら黙っておいて。」

「あぁ。」



私が頷いたのを確認して、彼女は口を開いた。

まるで劇の脚本を読むかのように淡々と、そして現実離れした内容を語る。



「氷河と紫龍は兄弟だよ。」

「それは……
以前氷河も言っていたではないか。
同じ孤児院に預けられ、兄弟のように育ったのだと。」

「……違うよ。
彼らは異母兄弟。
彼らの中には流れるうちの半分は同じ血なんだ。」

「は………、」

「彼らの父親はとある金持ちの当主だったんだ。
彼には子供が…100人以上いた。」

「100人!?」

「そう。
どれだけ遊んだんだって話なんだけど…今はそれは置いといて。
彼はある啓示の元、自身の子を聖闘士にする決意を立てた。
その子供のうち二人が氷河と紫龍だ。」

「……なんと突飛の無い。」

「彼の子供は高い確率で聖闘士になる。
私が知る限り、大体10%くらいの割合かな。」

「!
そんなになのか!?」



聖闘士を目指す候補生は少なくない。

100人いればその内1人か2人が生き延びて聖衣を授けられれば良い方だ。

それなのに10%は驚くべき数値になる。

もしかするとその父親に聖闘士の素質があったのかもしれない。




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