世界の果て

□世界のはしっこで
1ページ/2ページ





「―――シュラはまた候補生の訓練か。」



のらりくらりとやって来たのは同僚で同年代の黄金聖闘士のデスマスクだ。

今は聖衣も纏わず平服である。

何をしにこの双魚宮まで来たのだろうか?



「キミも行ったらどうだい、デスマスク?」

「ケッ、冗談じゃねぇ。
あーゆうのは見て呉れと人当たりの良いやつがやるモンなんだよ。
そういうのは任せた。」

「ま、確かにキミには不向きだね。」

「言うじゃねぇかアフロちゃん?」

「今自分で言ったんじゃないか。
それにキミや私の小宇宙は万人向きではないしね。
教えるにしても、体力作りくらいしか見てあげられないよ。」

「体力なんざ放っといても付くだろうよ。
あぁ、そういや晩飯のお誘いに来たんだがよ。
どうだ、一緒に。
あとでシュラも呼ぶつもりなんだが。」

「おや、ではご相伴に与りに行こうかな。
ちなみにメニューは?」

「ラザニアとミネストローネ。
野菜と肉たっぷりの具沢山満腹メニュー。」

「良いね。
ではワインは私が出そう。
取ってくるから待っておいてよ。」

「あぁ。
とびっきりのやつにしてくれよ。」

「バーカ。
とっておきはキミ達には勿体ないよ。」



軽口をたたくのは彼と私の言葉遊びのようなものだ。

デスマスクを待たせて自宮のキッチンへワインを取りに行く。

ラザニアがあるそうだから赤か…

あぁ、でもスパークリングワインでも良いかもしれない。

……2本持って行くか。




窓から教皇宮が見える。

あそこには教皇と姿の見えないアテナが居る。


――そう、姿の見えない女神が。

だって彼女は虚像なのだから。

10年近くもの間、彼女が居るかのように教皇は振る舞う。

いない女神が居るかのように。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ