世界の果て

□クロノスとテミス
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『テミスよ、何故真美を選んだのだ?』

『あら…?
珍しいのね、クロノス。
どうしたの?』

『…用件は今言った。』

『ふふっ、せっかちさんね。
真美のこと、ね。
どういう意味かしら?』

『とんだ食わせ物だな。
あれはとんでもなく平凡であるというのに、有り得ない程に非凡だ。』

『クロノス、貴方には真美が平凡な女の子に見えるの?』

『見えていた、が正解だな。
今となってはあの娘、果てしない器の持ち主に見えている。
人間にしては恐ろしい程のスピードで小宇宙に目覚めている。』

『半分正解で半分外れといったところかしら。』

『テミス、お前の言い方はいつも回りくどい。
もっと端的に話せ。』

『そうねぇ…

真美の小宇宙は眠っていたのよ。』

『眠っていた?』

『そう。
元々彼女の小宇宙はエイトセンシズくらいならば目覚めても問題のない器だったのよ。
肉体が覚醒していくにつれ、感覚も連動して自覚を始めた。


『心の大きさに、身体の成長が追い付いていなかったのか。』

『だから真美が小宇宙に目覚めるのが早く見えてしまう。
もちろんいつかは頭打ちになるでしょう。
でもまだその時ではない。』

『まあ神の小宇宙には及ばぬだろうが、末恐ろしい。』

『あら、それこそ偏見だわ。』

『何?』

『クロノス、人とは限りない可能性を持っているのよ。
我々神とは違い。』

『人が神より優れていると?
なんという戯れ言だ。』

『それは傲慢というものだわ。
私達神はそうね……言わばスペシャリストなのよ。
一点集中型。
それに比べ、人は生まれた時から大方の道は決まっているけれどそれが全てではない。
人は何者でもない代わりに何者にもなれる。』

『何者でもない代わりに神にはなれぬだろう。
現に神は人より大きな小宇宙を持つ。』

『違う違う。
可能性の問題よ。
クロノス、貴方は小宇宙を何だと認識している?』

『小宇宙?
我々の力の根源であろう。
各々万物の属性には区分されるが。』

『私達は生まれた時から神であるが故に小宇宙の属性も大きさも決まってしまっている。
でも人は違うの。』

『……運命とはモイライの三女神の管轄であろう。
なぁ、テミス?』




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