世界の果て
□クロノス
1ページ/2ページ
《――――真美、お主を過去へ送るにあたり諸々の理がある。》
「ことわり…つまり約束事ね。」
《そう。
まず大原則として時間の流れを変えてはならぬ。》
「歴史の改変ね。
それは大前提だ。」
《さらに未来の情報、時代の行方を左右しかねないものは、口にした時点でその身に禍(わざわい)が降りかかると知れ。》
「例えば何を言ってはいけない?」
《誰がどのように勝つかは言ってはならない。》
「それじゃあ『大丈夫。』とか『諦めるな。』とかは良いよね?」
《それは構わない。》
「根拠なく頑張れー、とか死ぬなー、ならば?」
《その者が何処でどのように死ぬのでその時が死に時ではない。という言い方でなければ良い。》
「ややこしい…
つまり生きていてほしい。という言い方ならば問題ないと?」
《そうなる。
そなたは聡明なようだ。
あとは自身の判断で振る舞うがよかろう。》
「分かった。」
《それとそなたから代償を頂く。》
「代償?」
《我とて我の理で動いておる。
ただという訳にはいかない。》
……ま、お願いしっぱなしというのも悪いかな。
人間に出来ることなんて限られているのだし、どうってことないだろう。
「私は貴方に何をしたら良い?」
《上を見よ。》
「え?」
真上から声が響いた。
言われた通り素直に上を見ると、口の中に何か入った。
ぬるりと口に広がって…
「うぇっ、ぐっ、
うぇぇえ〜〜、飲んじゃった……」
《別に人体に害のあるものではない。》
「うぅー……鳥のフンかと思った…」
《………もっとマシな想像はできなかったのか…》
「だって空から落ちてきた…」