世界の果て

□頑張れ青少年
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「――――はぁ、」



どうしてか真美の顔が頭から離れない。

ふわふわと笑うあの顔が。


初めて見た時は黒いと思っていた髪は、実はよく見ると黒っぽい茶色だと知った。

同じシャンプーを使っているはずなのに何故だか違う匂いがする。

ちょっと甘い…のかもしれない。

しかし当の真美は無頓着で、よくタオルでガシガシ乱暴に拭いていた。

見兼ねて俺が拭くと真美は楽しそうに笑った。

俺より広い背中を揺らしながら。



「どうかしてる…」



自分よりも体躯の良い奴なのに…

特別綺麗とかいうこともない。

カミュよりも大雑把で、氷河より子供っぽくて、俺よりがさつで…

なのにどうしてか目が離せない。

何でだろう、真美は男だろう?

憧れとか尊敬じゃないのは分かる。

でもこれは何なんだろう?


真美がカミュや氷河と話してるだけでも…、ちょっと胸がちくっとする。

……きっとどうかしちゃったんだ、俺は。

そうじゃなきゃ男の真美がこんなに可愛く見えるなんて…

いや、世の中にはそういう嗜好の人間がいるってのも知っているけど。

俺が今まで気になってきたのって、全員女の子だったし…



「訳分かんねぇー……」

「何が分からないの、アイザック?」

「うわぁっ?!」

「わっ、びっくりした〜。
本当にどうしたの?」

「ひょ、氷河か…
あー驚いたー…」

「もう!それは僕のセリフ!」

「悪い、悪い。」

「…別に良いけど。
でも本当にどうしたの?
どっか調子悪い?」

「いや、そんなことないけど…」

「でも何だか変だよ?
さっきも唸ってたし、修行中もどこかぼーっと見詰めてたり。
カミュも心配してたよ。」

「カミュが?」

「うん。
言わないけど、アイザックが溜め息する度に心配そうに見てたもん。」



……どんだけ上の空だったんだよ、俺。

カミュや氷河に心配掛けて…




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