世界の果て

□シベリア日記
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シベリアは…


シベリアは予想通りの極寒だった。

北上していけば永久凍土で植物が育たない。

いや、よく探せばあるのかもしれないが。

少なくとも私はこのシベリアの地で森林とか植物園は見たことがない。


しかし夜になれば空には両手から溢れ落ちそうな程の星空が広がる。

私はこれが一番好きだ。

オーロラや星、天体観測はロマンが詰まっている。

遥か昔、人々は空に輝く星を見て方角や季節をみたそうだ。

それは今私達が使っているカレンダーや時計の元となっている。

それこそ何十、何百、何千年前に土台が作られた。



私は時間があれば夜は外に出て空を見上げる。

天文学は専門外だけど、図鑑片手に空を見るのはなかなかに楽しい。







「あ。」

「真美?!
大丈夫?」

「ん、平気。」



外でアイザックや氷河と修行していたら突然足に力が入らなくなった。

カクンッという感覚の後、私の左足は呆気なく地に投げ出された。

私の足に気付いた氷河は一目散にカミュを呼びに行ったらしい。

アイザックはどうしたものかと私を見ている。



「立てるか?」

「ん。
…なんとか。」

「肩貸すか?」

「ごめんね。
ちょっとだけ、お願い。」

「真美ー!
呼んできたよー!」



全速力で走ったのだろう。

氷河の吐く息は白い。

カミュも修行でない時は外出には上着を着るのに、そのまま出てきたようだ。



「大丈夫か?
一体どうしたんだ。」

「ちょっと、その…」

「とりあえず帰るぞ。」

「え、うわっ。」



有無を言わせずカミュが私を抱き上げる。

肩を貸してもらっていたアイザックも驚いてそれを見た。

気付けばカミュの真っ赤な瞳が目の前にあった。




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