世界の果て

□五老峰日記 1
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五老峰は…


五老峰は思っていたよりも落ち着く場所だった。

水が落ちる様も、

木々が伸びる様も、

自然が自然らしく生き生きと煌めいている。

空や風がこんなに澄んでいるのは初めてかもしれない。

いわゆる霊穴や気脈といったものの流れが良いのだろう。



五老峰では基本的に生活は自給自足だ。

火を起こすのも水を汲むのももちろん手動。

現代日本では……おそらく一部の山奥か観光地でしか行われていないだろう。

畑を拓き、それで賄えるだけの家畜を育てる。

必要な物は山を下り作った野菜等と交換する。

もちろんお金も貯えがあるようだが、殆ど使うことがないらしい。

昔ながらの生活の営みがここにはある。








「童虎、どうしたの?」

「真美よ、そこに座れ。」



朝から何故か童虎に呼ばれた。

いつもなら朝起きて、朝ご飯を作って食べた後は畑へ行く。

なのに今日は紫龍だけで畑へ向かった。



「どうかしたの?」

「今日は真美の星命点を見てやろうかと思うてな。」

「星命点…
ってあれだよね、守護星座の星の並びが体に表れるやつ。」

「そうそう。
真美は察しが良くて話が早いから助かるのぅ。」



フォッフォッ、と笑って童虎が私を見る。

さて、今見てもらってはいるが、私も修行したら他の人の星命点が見えるようになるのだろうか?



「……分かった?」

「ふぅむ、残念じゃが見えぬのじゃ。」

「見えない?」

「そう。
例えばじゃが、人は誰しもその体内に宇宙を宿しておる。
その中に星はある。」

「はぁ…」

「星命点を持つ者はその宇宙の中に星座が浮かぶ。
即ちそれが星命点じゃ。」

「つまり私は見えないから…星無し?」

「今のところは。」

「今のところ?」



訳が分からず童虎を見る。

守護星座って、生まれた時からあるものではないのか?




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