main 3
□オマケ
1ページ/1ページ
放課後、机に向かっている一人のクラスメート。
あれ・・・?
「渚くん?」
〜*〜*〜*〜
「やっほー。」
「カ、カルマくん?!びっくりさせないでよ・・・。」
小柄な身体をびくんっと震わせる渚くん。
そんなに驚かなくても・・・。
「放課後教室に残って勉強?」
「うん。殺せんせーの授業分かりやすいんだけど、やっぱり難しくて。」
「どれ?俺でよければ教えよっか?」
「いいの? ありがとう、たすかる。」
渚くんはちょっと照れたみたいに、にこっと笑った。
可愛い・・・。
「この問題、教えて?」
「あー、うん。これね。これは・・・」
〜*〜*〜*〜
「この手帳、見てもいい?」
カルマくんが指差したのは殺せんせーの弱点をまとめた、あの手帳。
でも、どうして?
「多分、カルマくんが知ってることしか書いてないよ?」
多分どころか絶対にそうだ。
そんなこと、分かってないわけないのに。
・・・まさか、今こうして勉強教えてくれてるのも、友達として仲良くしてくれてるのも、全て手帳を見るため?
優しくしてくれてるのはただのオマケ?
「・・・ん、渚くん。どうしたの?急にだまっちゃって。」
いつもどおりの優しい視線。
「・・・これも、オマケ?」
「・・・え? なんのこと?」
「カルマくんが仲良くしてくれるのも、優しくしてくれるのも、・・・全部手帳のオマケ?」
言葉にすると、急に怖くなる。
「僕は、その程度の存在なの?」
「まさか! あのタコの弱点手帳なんて、渚くんと一緒にいることのオマケだよ。」
「えっ・・・?」
今度は僕が聞き返す番。
「だから、渚くんと一緒にいるのが目的。タコの弱点なんてどうでもいいし。」
「本当に?」
「うん。」
優しい視線はそのままで、頷いてくれた。
「よかった・・・。分かってくれた?」
「うん。ぼくこそ、変なこと言ってごめん。」
いいよ、と笑って許してくれるカルマくん。
「じゃあ、帰ろっか。遅いし。」
「そうだね。付き合わせちゃってごめんね。」
「渚くん。」
「なに?」
「そんなに謝らなくてもいいし、気を使わなくてもいいんだよ? ・・・ってか、俺にはやめて。」
「どういうこと?」
「渚くんは俺の中で特別ってこと。」
――外はもう、夕焼け色に染まっていた――